お手伝い






廊下を歩いていると、向こう側からダンボールを運んでくる人物がきた。積み重ねたダンボールで顔を確認することは出来ないが、下から覗く黄色のエプロンなら見覚えがある。俺は足早に近付き、運ぶ人物に声をかけた。

「ジェロニモ先生」

「あ、ケビンズラか」

横から覗き込むと、フニャリと笑ったジェロニモ先生の顔。俺はマスクで隠れた顔を情けなくも緩め、「大丈夫か」と声だけはキリッとさせた。

「かなりの荷物だぜ、前が見えないだろ」

「うん……、この後階段を登らなくちゃで、」

「うっわ、危ないな」

足元が見えない状態で登らせて、怪我をされるのは勘弁だ。俺は先生の持つダンボールを半分持った。

「ハハハ、ありがとうズラ」

「別に、アンタに怪我されたら困るからな」

「そうズラね、オラの代わりに家庭科を教えられる教師は居ないズラ」

いや、そういう意味じゃねぇんだけどな……。俺は鈍感な先生に小さく溜め息を吐いて、「ほら、行くぜ」と声をかける。ニコニコ笑うジェロニモ先生の横に並び、俺は家庭科室へ向かったのだった。






  

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