夜更かしと待ち詫びた貴方










「ウォーズさん、まだ寝ないのか?」

Tシャツにスウェットというラフな出で立ちで、ケビンが俺に声掛けた。

「あぁ、もう少し読み進めたら ベッドに潜るから。先に寝ていてくれ」

「分かった」

大人しく寝室へと去ったケビンの後ろ姿を見送り、俺は本の続きを読み進める。








時刻は日付を越えて少し経った。思いの外読み更けてしまったが、身体の芯まで冷えてしまったので 俺は早足で寝室へ飛び込むと、そのままベッドに潜り込んだ。大きなサイズのベッドには、既にケビンが眠り込んでいる。大の男二人が横になっても 些か心配要らないこのベッド。俺は柔らかな羽毛に身体が包まれ、途端に眠気に襲われた。

(あぁ、布団はいいなぁ……)

ぬくぬくと足を擦り合わせていると、突然背後から二本の腕が伸びてきた。驚いた時にはもう遅く、ギューっと身体を抱き締められており、後頭部に息を吹き掛けられているのを感じた。

「ケ、ケビン……?」

「んん、ウォーズさん……、やっと来てくれた…」

モゾモゾと身動きをとったかと思うと、首筋に柔らかな感触を感じ、不意に肩を跳ねらせた。ドキリとするが、後ろの彼は少し寝惚けており、チュッチュ と俺の首筋に噛み付く。

「コラ…、早く 寝なさ……んっ」

「ウォーズさん、ウォーズさん…… あぁ、んぅ」

「あ、あぁ……やめっ、うぅん……」

自然と漏れてしまう声が、己のものとは思えないほど厭らしく耳に響き、顔という顔に熱を帯びたのを感じた。我慢できずに身体をムズムズさせていると、ケビンの声がすぐ近くに聞こえた。

「ウォーズさん、声、えろ……」

「やめ、あぁっ ケビン……っ」

寝間着越しに太股をまさぐられるが、その手は急に止まった。再び上半身を抱き締め出した彼は、次第に抱き締める力を緩めてきた。

「ケビン、寝るのかい?」

「う……」

「ほら、おやすみ ケビン」

背後にいるケビンの方に身体を向けると、鉄仮面を脱いだ美男子が、俺の身体に逞しい腕をまわしたまま ウトウトしていた。

「good night . 」

柔らかな金と赤のメッシュの髪を撫で、俺は目を閉じた。お返しをするようにケビンの身体を抱き締めた。










翌日

「……………んぅ、」

「……ウォーズさん、お早う」

「あ、ケビン……」

「ウォーズさん、可愛かったよ。俺の胸に顔を押し付けたり頬擦りしてくれたり!」

「え、ちょ……っ!」

「もう離さないからな、ウォーズさん」

「や、あの…!」

「さぁ、もう一眠り、俺の腕の中で……」




暴走鉄騎兵、頑張れファイティング・コンピュータ!










  

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