snow.







今年は何度か雪が降った。先日も大きな雷が鳴り、そろそろまた、小粒のあられが空から落ちてくるのだろうか。正義超人の仲間たちとのスパーを終え、そのまま買い出しをした帰り道。気付けば 空は薄暗くなり始めていた。ペンタゴンは、自慢の大きな翼をはためかせると 空高く舞い上がった。家よりも 電柱よりも高く。冷たい空気の中、目前には 遠くの山々に沈もうとする太陽の姿があった。宙を舞うことが出来る超人しか味わうことの出来ない景色だ。地上を見下ろすと、街は 寒い冬へと変わるため 様々なイルミネーションで彩られていた。大通りをなぞる様に 光の列が並び、彼方此方で ピカピカと光る。夜 ここを舞ったら、さぞや美しいだろう。地上に蔓延るネオンだって、空から見たら ただの光だ。ペンタゴンは 夜の景色を『星の海の様だ』と思っていた。上も下も光輝き、その中をフラフラと漂う。何とも楽しそうだ。そんなことを考えていたペンタゴンは、不意に 両手に持っているスーパーの袋を思い出した。早く帰らねば、また同居人に小言を言われてしまう。


「急がなきゃ……」


バサッバサッ… と羽ばたく音と、
ふわりと舞い落ちる 雪のように白い羽をして
白い天使は 家路についた。





(お母さん、雪が降ってきたよ)
(あら、これは 雪じゃないわ…… 羽、かしら )








  

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