ここは、イタリアのとある森の奥深くにある古城。普通の人は誰も足を踏み入れないような場所にその古城はあった。外は雨。ただでさえ薄暗い城なのに、この天気では外が朝なのか夜なのかも分からない。
「降ってきたねー」
「そんなこと言ってないで早く部屋に戻ったらどうですかー?」
「いいじゃん別にー」
なんでヴァリアーのアジトはこんな城なのかなぁ。ここに入隊してから何度思ったことか。お金があるんだったら、もっと良い所に建てればいいのに。お日様があって、昼はぽかぽか日向ぼっことか出来て…ま、そんなところにあったら平和ぼけしちゃいそうだけどさ。
そんなことを考えていたら、ゴロゴロっと小さく、猫の喉を撫でたときのような音がした。
「今の音、なんだろう?」
「音なんてしませんでしたけどー?気のせいじゃないですかー?」
そうフランが言った瞬間。外がカッと光ってその数秒後にゴロゴロガッシャーンとけたたましい音が鳴り響いた。と、同時にゴロゴロガッシャーンっと部屋で音がした。音がした方に目をやると、フランが椅子から落ちていた。
「フラン?」
「…なんでもないですー」
また外が光った。さっきよりも、さらに大きな音が響いた。フランの方に目をやると、クッションに顔を埋めていた。
「もしかして、雷怖いの?」
「は?そんなわけないじゃないですかー。ミーが雷を怖いだなんてありえませーん」
とか言っているけど、声はいつもより早口だし、さっきからビクビクと肩を震わしているし…なんか、普段毒舌でSなフランがこうって…可愛い、かも。
「ねぇ、フラン。あたし雷怖いから傍にいてくれない?」
そう言うと、フランの顔が明るくなった。普段表情をあまり出さないから新鮮。クスッと笑うと、フランはごほん、と咳払いをしてあたしの隣に座った。
「しょうがないですから、雷が止むまで手でも握ってあげますよー」
さて、怖がりなのはどっち?
拍手ありがとうございました!*
真白*紫織
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