ベルを先頭にして目的地まで木を渡っていく。フランも悟っているのか全くというくらいベルにちょっかいをださないくらいベルの機嫌がなかなか直らない。







「俺は南地点で構えてる奴らを殺ってくるから、フランは北、名前は西な」
「わかりましたー」
「了解」
「何かあったら通信機で伝えろよ」












*****












西地点に着いたあたしは気配をできるかぎり消して相手の数を木陰から予想した。








『あーあー。聞こえますー?北地点に到着しましたー。数はザッと50くらいで楽勝そうなんでー取り掛かってきますねー』
『西もそれくらいかな、今のところ。あたしも取り掛かる!』
『油断すんなよ、2人とも。』









ふぅーっと息を吐き、自分自身の気持ち落ち着かせ、そぉっと刀を抜いた










「な、何だ!!?この霧は!!」
「敵がきたみたいだ!注意深く戦え」
「遅い」







西地点で構えていた敵の隊長が指示をしたと同時に、あたしは刀を振り下ろした。







「や、殺っちまえー!!!」







下っ端と思われる者達は一斉に襲いかかってこようとしている。





こんな奴らって卑怯のほかの何者でもない気がする。へこたれるわけもなく、あたしは匣を開口し、刀と匣から出てきた武器、生物に霧の炎が灯ったことを感じ、技を繰り出していったところ、いつのまにか辺りは鉄臭く、血の海となっていた。













確かこの任務は相手の隊長格が所持しているリングを奪えとの命令。相手の隊長格とやらは最初に…と見渡せば、血で汚れ茶色と化した芝の上に、倒れている隊長格がいた。








脈拍を確認するが当然の状態。リングは首にさげてあったため刀に引っかけ、奪うことに成功した。リングは一見、ふつうの指輪とかわらないようにみえるけれど、何か特別なんだろうか…







リングを握り、ベルとフランの元へ帰ろうと振り返った瞬間、ニィッと狂った笑みを見せてきた男とバチッと目が合った。










「うあ"っ…!!」










やばい!、と思ったあたしは刀を構えようとしたけれど既に遅く、刀は長い脚で蹴り飛ばされ腹に一発蹴たぐりをいれられ胸倉を捕まれ息が上手くできない状況に追い込まれた。






「お前、よくもやってくれたな」
「な、何故…」
「何故生きているかって?そんなの簡単な話さ。最後の力を振り絞り、幻覚をつくりだしたのさ。それなのに、まんまと引っ掛かってくれてよ」
「……。」
「殺し屋で有名なあんたに、こんな幻覚も見破れないなんて、殺し屋失格だな」












ほんとにこの男の言う通りだ。今はウ゛ァリアーというあの暗殺部隊に入隊しているというのにも関わらず、こんなようじゃボスにも放り出されちゃうかもね…情けなくてしょうがない。







「あぁ?なんだ?情けないとでも思ってんのか?」
「……。」
『名前…?終わった?』
「「…!!?」」








運悪く、ベルから通信機に連絡が入ったようだ。手で握り潰して壊そうと思ったけれど、男の行動の方が早く、通信機は男の手に渡ったと引き換えに、あたしは地面に叩きつけられ、過呼吸になりつつも一生懸命呼吸した。








『お前、この茶髪の女の仲間か?』
『誰、お前…』
『おいおい、聞く前に名乗るべきじゃねぇか?』
『ししっ、意味不明なんだけど』
『まぁ、いいけど。そんなことより…』
『はぁ、はあっ』
『名前?!お前、名前に何をした!??』
『ちょっと虐めただけさ。こいつ、ほんとに殺し屋か?』
『立派で生意気で強がりな女だぜ』
『俺の幻覚も見破れないほど、バカだよなぁ、女。…おい女』『(やっべ)』







通信機で二人が話している間に、あたしは少量の晴の炎で自己再生をしていたが、それも時間の問題でばれてしまった。







『ふん、確かに立派な女だ。複数の炎が使えるなんてな』








男はあたしが使っていた刀を拾いに行き、あたしにまたがってきたのが微かに見える。








『ししっ、まぁそんな立派な女も見とくのは今のうちだぜ?』『何??』
『見ぃつけた』








通信機でしか聞こえなかったはずのベルの声が、直接聞こえたのを確認しみてみれば、ナイフを振り下ろそうとしているベルの姿が見えたのと同時に、男がは倒れ、あたしは腹に一瞬痛みを感じた。








( 立派なんてもったいない )






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