石土井/富数/土井くく/虎三木/こま利
※現代。成長混在。ツイッターの恋愛お題ったーより。加筆修正あり。


石土井「深夜の海辺」「耽る」「桜」

以前会ったのは桜の咲いていた頃だったか。それが幾度目の桜だったかは数えていない。暗い海は暗澹として互いの姿をぼんやりと映した。
「お前はすごいな」
「そうか?」
「ああ、桁違いの馬鹿だよ。まさか海を渡っていたとはな」
答えに石川が低く嗤った。
「そういやこっちではもう桜は咲いたか?」
知らんと私は海を見た。






富数「夜のソファ」「裏切る」「噂」

帰るまで待ってるよ。そう先に言ったのは彼だったはずだ。ソファで力尽きたのか背もたれに埋もれて眠る彼を富松は恨みがましく眺めた。裏切り者に毛布を掛け、先に約束の時間に遅れたのは自分だったことを少し反省した。そういや、噂の子とはどうなったのだろう。冷蔵庫から取り出したビールは苦かった。また訊きそびれた疑念がそうさせるのかもしれない。





土井くく「早朝のプラネタリウム」「振られる」「足音」

少年の大人になっていく足音をずっと聴いていた。だから、彼のまだ無邪気にわたしを慕っていたことからよく足を運んだこの場所に呼び出されたときから、なんとなく予感はしていた。それもまだこんな陽も昇りきらぬうちだ。わたしは今日、まだ開いてもいないプラネタリウムの門前で、少年に置いてゆかれる。

先生は昔から先生だった。俺はそんな先生が好きで、そして先生ではない先生までもを求めた。先生はやはり先生のままだった。少しだけつらそうな彼に気づいてしまったとき、俺は大人になってしまったのかもしれない。俺は今日、まだ無邪気に彼を慕えていた頃から通ったこのプラネタリウムの前で、あなたを諦める。






虎三木「夕方のホテル」「頭を撫でる」「手錠」

この腕に手錠は似合わないと思った。ベッドに腰かけやはり寵愛する銃を磨いていた彼はうん?と首をまげて俺を見た。綺麗な顔は一言で言うなら勿体無い。それに尽きる。
「虎若の子も見てやろうか?」
「結構です」
なんだよお前つんけんして。乱暴に頭を撫でられ苦笑した。お互いにこの平成に難儀な趣味を持ったものだ。





こま利「早朝の坂道」「笑い合う」「鍵」
「こないだ失くした鍵、あったんですよ、利吉さん!」
「あはははは」
「利吉さんも喜んでくれてるんですね!」
「あはははは」
「あはは!利吉さあん」
「あははは、はあ…もう鍵変えたんだけど」
「あはははは、えっ?」
「すっとこどっこい」
「面白いですね!」
「あはは死んでくれ」
(付き合いきれんわ)



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