無題
アクタカ 2011/12/06

「俺たちってさあ」と河村がごにょごにょ言い出すので、顔をしかめながら何とかその先を聞き出してみると、「付き合ってるんだよ、な」だと。その通りだと声を大にしてやりたいところをつまらないプライドが邪魔した。さあなと冷めたフリをすると、分かり易く落胆した。から、してやった。
何の準備もしちゃいなかった河村の歯に当たりガチンと嫌な音がした。河村は驚いているらしい。柄にも無い事をした後悔に早速囚われ始めた頃、河村がまた馬鹿な事を言う。「もっかい…頼めるかな」だと。今度は目も唇もしっかりと閉ざして奴は待つらしい。アホ程突き出された唇が笑える。
少し惑って、アホの唇を指で摘んでやった。
「痛い」
「だろうな」
暫くそのまま頬ごと奴の顔をむにむにと弄んでいると、やめろって、と遂に抜け出された。何となく手の内が寂しくなった感覚に戸惑いながら煙草に手を伸ばそうとしたときガチンとやられた。歯が、痛え。河村が笑っていやがる。
/「ちゅーしよ。」


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