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大切なものはいつだって横からかっさらわれていく。あれは自分のものだと印をつけて、手の届く場所に置いていれば良かったのか。あのとき駄々をこねて喚き散らしていれば、どれもこれもなくさずに済んだのだろうか。今となっては聞き分けのいい薄ら笑いを張り付けて、毛布にくるまっては後悔と安堵に溺れるしかない。あの日の感情はとうに色褪せたはずなのに、あの頃の空気は未だに絡み付いて呼吸を阻みながら私を生かし続けている。


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