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また今日も雨が降り続いている。
あの時、俺が屯所を飛び出し途方に暮れていた日と同じように地面を濡らし、俺の体を冷たくしていく雨はまだ止んでくれそうにない。


「心、どこだ…!」


傘も忘れ飛び出したおかげで俺の体はすっかり濡れ、水を含んだ着物はずっしりと重たくなっていく。


バシャバシャと水が跳ねることも気にせず足をただひたすらに動かす。


「なまえ!」


前方から見慣れた浅葱色の隊服を見に纏った男が傘を差して近づいてきた。
血で濡れた右手と淡い蝋燭に照らされたギラリと光る槍を手に持っている。


「左之さん…」

「傘も持たずに外に出るんじゃねぇ!いくらお前の体がそこいらの奴より頑丈でも体壊すぞ!」


傾けられた傘のおかげで強い雨の刺激から久方ぶりに開放された。

「なぁ、左之さん心はどこだ?」



随分と俺の声はか細くなっていた、これじゃあ心にも聞こえない。

心配そうに俺を見つめていた左之さんだったが俺の声を聞いて眉間に皺を寄せてしまった。
余計に心配させてしまっただろうか、今度何か礼をしないと。
最近は心に付きっきりでみんなと話してなかった。




「残念だが……廻谷の死体が見つかった…」



「死体…?」


今左之さんはなんといったか。
したいってなんだっけ、どういう意味だったったけ。
それはどんなモノで、どんなカタチで、どんなニオイで。






とんなオンドだったか


雨の音は聞こえなくなった、きっと雨は止んだのだ。
だけど俺の頬を濡らすこれは一体雨以外のなんだというのか



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