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最近は事件が多い。新選組にいれば事件くらいいくらでもやってくるものではあるが被害者はすべて一人。


新選組の井戸に突如現れた廻谷心がその被害者となっている。本人は気にしないでほしい、大丈夫と心配する俺に言ってきたが一度だけではなく二度も三度も起こっているわけでそういうわけにもいかなくなってきた。


兄にそれを伝えたところそれは大変だとすぐに行動に移そうとした。その後、兄から聞いた歳三さんが忠告しておく。の一言。


「歳三さん、いくら忠告したとしても終わらなければ意味がないぞ。」


「……この俺が言っても止まないというのはあいつに何かあるんじゃねぇのか?」

「それは一体どういう意味だ?事によっては俺もキレるぞ。」


歳三さんの部屋で二人きり。いつもの俺たちならば和やかな会話を繰り広げているところだが今の空気はそれとは全く違うもの。


「誰がやっているかもわからない最近の廻谷絡みの事件。それが本当に新選組の人間がやっていることなのか?その証拠がどこにある。
確かにこの前廻谷を襲ったあいつらの一件もあるからお前が疑うのもわかるが、それ以降の証拠が出ていない。」


「…っ………。あれだけ部屋が荒らされて、最近手とか足に傷もついてきてて……。」


「なぁ、なまえ。こう言っちゃ何なんだが…それは全て、己の手でも可能じゃねぇのか?」

「!?じ、自分で自分の手や足を傷つけたっていうのかよ!?」


歳三さんが言う言葉があまりにも信じられなくて、思わず声を張り上げてしまう。それは信じたくない。あいつはいつも素直ないい奴で……。



「お前はなぜ廻谷をそこまで買い被る。まさかとは思うが惚れた、なんてことはねぇよな?」



惚れ、た?一体歳三さんは何を言っている?
それは断じてない。だって俺にとってあいつは妹みたいなもので女として見ていない。
確かに笑った顔は可愛らしくもあり、時たまに見せる切なげな表情は色っぽいと思ったことは何度もあるが……。
あれ……?

なんで、妹のように思っている女を色っぽいとかそういう目で見てるんだ?


自分の気持ちを認識してしまった瞬間、ぼぼぼと音がするくらいの勢いで俺の顔は真っ赤に染まりあがる。それを目の前で見ていた歳三さんは驚きで目を見開くほど。当たり前だ、俺がここまで表に情を出すことなんてそうそうないことなんだから。



「なまえ……お前…」


「っ!と、歳三さん、悪い!」


脱兎の如く部屋の障子を開け、俺は歳三さんから逃げた。顔は熱いままで少し冷えてきた外の空気に触れてもそれは消えない。



「…俺、嘘だろ?」


いつから?どの場面から?きっかけは?
そんなもの考えても答えは見つからない。俺はいつの間にか心を好きになっていて、いつの間にか目で追いかけて、気にかけて…。

考えれば分かることじゃないか。俺はもうあいつを妹のような存在として見ていない。



もう、俺の中であいつは一人の女だ。



落ちて落ちて落ちて



溺れれば溺れるほど
心は埋まる
心は痛む



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