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僕が一番最初になまえを見たのはまだ十にもなってない頃だった。近藤さんのお父上であられる近藤周助さんに引きとられた時が最初の出会い。
近藤さんに僕と年が近い子がいるんだよと紹介された。
近藤さんの足元からひょこっと顔を出したのは綺麗に化粧をされ、髪を結いあげられて、これまた綺麗な着物を身にまとった女の子がいた。
僕ぐらいの年の子ならおかっぱくらいの長さが普通なのだけど彼女の髪は大人の女性のように長かった。
「…こんにちは。」
「こ、こんにちは!」
あまりにもその子が綺麗だった為緊張してしまった僕は思わず大きな声を出してしまった。
「ふふ、兄上様。この子が新しく来た子ですか?」
「そうだぞ、まだ来たばかりでいろいろと不便だろうから何かあったら助けてあげてくれ」
「承知しました。わたし近藤なまえです。」
女の子は僕にすっと白く綺麗な手を差し伸べながら名前を教えてくれた。
僕もそれに習い手をだしてその綺麗な手を握る。
「沖田、宗次郎です…。」
「よろしく、宗次郎。」
これが僕の人生の中で最初で最後の恋の始まり。
輝く世界
その後、なまえが男であることを知ったのはあの日近藤さんと一緒に風呂に入っているところになまえが乗り込んできた瞬間である。
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