「すいません、一発かましていいですか?」
「あはは、全力で遠慮するよ」
そんな体育祭の競技とか明日でも明後日でもいいじゃないか!!
この人は暇人なの!?それとも思い立ったら即行動派なの!?
「君めんどくさがりだいから50メートルとか出てそうだよねー…でも一番面倒なの押しつけられて断れなかったっていうのもあるなー」
この人エスパーだ!!
なんだよこいつ、実は私のクラスにいたんじゃないのか!?
ストーカーだから覗きなんて楽勝だぜ☆とか思いながら窓からとか変装していただとかいろんな手を使って私のクラスに出没してたんじゃ…!
「君妄想が激しいって言われない?」
「あなたの被害妄想に比べれば軽いもんですよ、
はぁー……私が出る競技は借りもの競争です。
沖田先輩大当たりです…。」
なんかこの人と一緒にいたらすごい疲れるな…。
ていうかなんでこの人私なんかに構うわけ?
確かに私のせいで部室での…えっと、あんなことやこんなこと…いや、逆に卑屈な表現になった気がする…。
「あの、私も質問してもいいですか?」
「僕に答えられる質問なら構わないよ」
「なんで私につきまとうんですか?」
これで勘違いしてんじゃねぇよこのクソアマ!とか言われたら結構ショックでかいなー…。
そんな言われたら思わず殴ってしまうよ私。
「気になっちゃうから。」
「へ?」
いつもは憎たらしく見えたにっこり笑顔が初めてかっこよく見えた。
でもこうきらきらとした星が見えたりはしない。
白タイツが見えたり白馬が見えたりもしないからまだ私は汚染されてはいない…はず……。
「だって、女の子はみんな僕の誘いを断らないのに君はいきなり僕を殴った。
予期せぬ出来事ってやつだよ、しかも何回話しかけてみても殴るわ蹴るわで…。
興味持たないはずがないでしょ」
「……………」
知 ら ね ぇ よ !
一瞬でもかっこよく見えた私がバカだった!!
何だよ最初の女の子は僕の誘いを断らないって!!
自慢か!?
何だよ当たり前みたいに言ってんじゃないわよ!!
美形軍団の中じゃ私の好みは沖田先輩じゃなくて斎藤先輩みたいなクールな人が好みだし…!
「…先輩、今度私に話しかけたら先輩の潰しますから!」
「先輩のって…僕の…何を……」
初めて先輩の顔が青ざめた。
やはり男の弱点と言えばコレだろ、私って頭良いわ!
「決まっているでしょ、ナニを、ですよ」
それを言って私は逃げた。
つまりは言い逃げってやつだ。
逃げ足は速いんだよ!!
翌日
「ねぇ聞いた?沖田先輩の…」
「知らない聞かない興味ない!」
「知らないなら聞きなさいよ!!今この話題でもちきりなんだから!
しかも、この話にはあんたまで関わってるのよ」
は??
「聞くだけ聞くわ、何があったの?」
「それがさ、あんたには踏まれるのもいいかもだって」
「何を?」
「ナニを」
平然と教室でそれを言った私の友達は最強だと思う。
とりあえず恥じらいを持てよ、
「しかも踏まれるときは網タイツに赤のハイヒールがいいってさ」
「…………すまん、私目眩がするから帰る」
「了解、」
同情の眼差しを背中に受けながら私は家に帰った。