暑い暑い顔に蛇口から出る水を直接かぶった。
ひんやりと冷たい水が髪や顔を濡らす。
さっき見た光景が目に焼き付いてしまった。
部活が終わって帰ろうと思ったけど部室に忘れ物をしたことに気がついて急いで取りに行った。
中から声がしたから先輩がまだいるのかなって思って中を覗けば…。
行われていた行為は所謂男女の営みってやつで卑屈な音とその光景に恥ずかしくなった私は走り出した。
バシャバシャ
水を大切にしようとか今はどうだっていいよ、早くこの熱を取ってくれ
「黒に白のレース、意外と色っぽいの穿いてるね」
後ろからする声は何のことを言っているやら。
………黒に白のレース?
それって今日の私のパンツ!!!
頭を濡らしたまま顔をあげて後ろを振り向くと他校にまで名が轟く沖田先輩がいた。
「やぁ、君さっき部室覗いた子だよね?」
部室?
そりゃ覗いたけどなんで…って!!!
「あああ、あなたさっきもしかして部室の中に!!」
「いたよ、そして君が見たことに気づいて…そしたら相手の子が恥ずかしくなったのか逃げちゃってさ。
だから代わりに君が相手をしてくれない?」
ニヤニヤ笑う悪魔が私の目の前にいる。
私の中で何かがプツリと切れた音がした。
「沖田先輩、失礼します!!」
鳩尾を思いっきり殴り、脱兎のごとく私は逃げた。
たとえイケメンだろうが、あんな最低男のお相手なんてごめんだっつーの!
翌日
昨日はあんな風に思ってはいたけど、さすがにやりすぎたかな…。
とりあえず会わなければいいのよ、会わなければ。
そうすればいずれ先輩も忘れてくれるだろうさ、
「うし、絶対にあわないようにするぞ!」
「へぇー誰に?」
「もちろん沖田先輩にってうぎゃぁぁぁあ!!!」
後ろからかかった声がまさか当の本人とは思わずに私は吃驚してしまった。
そして、思わず先輩の頬を思いっきり殴ってしまった。