君がため 借しからざりし 命さへ 名がくもがなと 思ひけるかな





「三郎、俺は行くよ。この世界で生きようと思ったあの時から死は覚悟していたさ。」

「嫌だ、逃げよう!私と逃げてくれ!」


「ふふ、男前が台無しだぞ三郎。」


「行かないでくれ、私を好いているのならば私と……」



「当り前さ、俺は一等お前を好いている。だからこそ俺は行くんだよ。」


「何故だ…私とお前ならどんな場所へ行っても生き残れる!だって黄金コンビと謳われた仲じゃないか!」

「そうだな、一番五年で強かった俺たち二人は黄金コンビと呼ばれていた。そしてみんなが公認してくれた恋人だった。
誰もが羨む、恋人同士だった。けれど甘えは効かないんだ。
すまない。三郎……」



「名前……」



「………愛してる。」


    

(君と会うためなら、捨てても惜しくない命だと思っていたのに、こうして君と会った今、君ともっと会うためにいつまでも長く生きていたいと思った。)


「お前の笑顔が瞼に焼き付いて私を離してはくれないよ。」


(百人一首より五十番藤原義孝)









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