Agape 2
これは私が二歳から三歳の頃のお話。
二歳の誕生日プレゼントを選ぶために近くのショッピングモールにお母さんと行った私。
ショッピングモールの中にある雑貨屋に目が止まりそこにあったペアのペンダントに一目惚れをしてしまった。
何故だか無性にそれが欲しかった。
ハートの形をしていて真ん中から割れていて英語が書かれている。
なんて意味なのかはその時全然わからなかったけどきっと素敵な意味だと信じていた。
お母さんにプレゼントはこれがいいと言えば人形のドレッサーセットよりずっと安かったので買ってもらったペアのペンダント。
両方ともいつも首にかけていてなんだか少しだけオシャレさんになった気分になったっけ…。
幼稚園に入園して初めてのおゆうぎ会があった。天使の役となった私は入院中のおばあちゃんに写真ではなく実物を見てほしくて、無理を言って病院までその格好で行った。
知らない人にまで可愛い可愛いと言われ上機嫌だった私は一人の女の人を見つけた。
少し前に弟の三郎が生まれたばっかりだったからその人のお腹を見て一目で子供がいるとわかった。
ボロボロと涙を流すその人に近寄り私はお腹に手を触れた。
女の人はすっごくびっくりしていた。当たり前か、見ず知らずの子供がいきなりお腹を触ってきたら誰だって驚くに決まっている。
「あのね、お母さんが悲しんでるから早く出ておいで。怖くないよ、安心して大丈夫だよ。」
優しく撫でてお腹の中の子供に言った。
なんでそんなことをしたのかよくわからないけど私が天使の格好をしていたからだと思う。
天使は困っている人の手助けをするって信じてたからだから泣いていたその人を放っておけなかったんだ。
首にぶら下がっている2つのペンダントのうち1つを首から取ってお守りと称し女の人に渡した。
そのあとすごくお母さんに怒られた。
人助けをしたのに何でこんな怒られてるのかわからなかった私はとりあえず泣いていた。
余談だけどおばあちゃんがどうして知らない人にペンダントを渡したかを優しく聞いてくれて泣きじゃくりながらその女の人の話を全部すれば私の代わりにお母さんに説明してくれて最終的には褒めてもらったからよしとしよう。
「あのお腹の子無事に生まれたのかなー?」
「あのペンダントの子?」
うん、とリビングで一緒にお茶をしていたお母さんに返事を返した。
「生まれてたら三郎と同じ年くらいかしらねー。」
「たぶんそうじゃないかな?私が三歳の頃だったし。
もしかしたらいつか運命的な出会いをしたりして…!」
ないないと笑いながら返された。やっぱりないかと私も笑って返した。
「にしても私いきなり泣いてる妊婦さんにそんなこと言うって何様て話だよね。」
「本当よ、あんたお腹の子供に何かあった時の妊婦がどれほどつらい思いをするか知らないから言えたのよ。」
「あの時はなんだか何でもできる気がしてたの!」
ほんと恐れ多いことしたなー…あの人私のこと恨んだりしてないよね?
どこまでも生きて
(まさかその子供って…。)
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