危険感知





沖田君達が去っていった後、私と千鶴も倒れた死体を避けながら進んだ。








─────────


「嫌ぁ!!助けて!……誰か!!」


二階から三階に上がり、敵がいつ来ても大丈夫なように武器を構えていた。
すると教室……普通科の階だから普通科の教室……。


その教室の中から声がする。
その声に混じって数人の男と女の声がした。



「………千鶴…」

「……多分六人くらいだよね?
助けなくちゃ!!」


「ストップ!」




目を閉じて少し考える。
聞こえてくる口調、声色……………








なるほど、相手の考えがわかった。

「全員殺すよ…」


「!!でも、名前ちゃん!助けなくちゃ!!」

「違う、あれは敵の作戦だよ。
助けに来る人を殺すための演技でしかない。」

まったくもって悪いことを考える人間がいたものだ。
善意を持って現れた人間をだまして殺すんだから。


ガラッ

「た、助けて!!」



扉を開けて中を見れば一人の服を脱がされた女に男が三人寄ってたかっている。
それをクスクス笑いながら見ている女二人。
端から見れば虐めにしか見えないだろう。



「!?名前ちゃん!!上!」
「え!?」



千鶴の声を聞き、上を向けば一人の男が壁に引っ付いていた。




「っ!!しまった!!」


「もう遅いんだよ!!!」


男が片手で銃を構え、私に向けた。

「名前ちゃん!!」

「動かないでよ…」


先程まで苛められ役をしていた女が今は銃を持って千鶴に向けていた。
一般人にしてはよくできた芝居だなと心中で感心している。
命の危険に晒されているというのに怯えるわけでもなくただ私は男の銃を見ていた。



千鶴はわからないけど、こんなことで私は怯まないし怖いだなんて思わない。
だって私は銃マニア、銃となればどんな話だろうが飛び付く。
本物と偽物じゃ色や艶、銃口の形や引き金の部分を見れば一目瞭然だ。



「…………あなたの







ハズレね、」

左手に持っている銃を男に向けた。


そして、

「千鶴、伏せて!!」


千鶴に伏せるように呼び掛けて、右手に持ったマシンガンで女や男達を撃ち殺す。

一分もかからない内に計六人が死に、残りは私にモデルガンを向けた男だけ。


酷く怯え、体中が震えており立っているのがやっとな状態。
「……さっきの自信に満ち溢れた目はどうしたの?」


私はその男の顔を見ながらいつもと変わらない表情で問いかける。
「お……お前っ!!何者なんだよ!!?」



私の質問を聞き流したのか掠れた声で逆に私に問いかける。
千鶴は、床にへたり込んでいた。
多分容赦なく人を殺したことに驚いて


「私は




ただの女子高生だよ?」


嘲笑い、とでも言うのだろうか?
男は一層怯えとうとう座り込んでしまった。





サヨウナラ

バンッ



そして男は壁にもたれ掛かり死んだ。






私は敵の懐などから使えそうな武器を取っていった。



「手榴弾が4つとフルーツナイフだね。」

「手榴弾は役にたちそうだね…」


フルーツナイフは小さいし切り傷ぐらいにしかならないだろう。
どうせなら包丁くらいデカいのがいい。



「……この後はどうするの?」


「基地だよ、一番安全な場所に基地を作る。」


言いながら私は殺した奴らのポケットを漁り、次に携帯電話を取り出した。
計7つの携帯電話が私の手元にある。
全て電池は充分にある。
二日分は保つだろうか………。

「携帯電話?何に使うの?」



電池の容量について深く考えていれば再び千鶴からの質問がきた。


「今時の携帯電話にはテレビ電話があるでしょ?
私がネットで見たことによれば外部との連絡は厳禁らしいけど内部での連絡は可。
つまりこの学校にいる人同士ならメールしようが電話しようが構わないというわけ。
そこでテレビ電話を使って基地の入り口に一つ電話を置いて、もう一つを私たちの手元に置く。
そうしたら敵が来たことが分かるでしょ?
所謂防犯カメラみたいな物だよ」


簡潔に、しかし出来るだけ分かりやすいように説明する。
技術科の人達なら改造して小型カメラとか設置しちゃうんだろうな…。

「後この人達の食料と水を貰って、リュックは3つ欲しいかな。」


「リュックを3つ?」


「よく刑事ドラマとかで動かして棒とかに当たったら爆発するっていうやつがあるでしょ?
それと同じことを手榴弾とリュックを使ってやるの。
手榴弾と同じ大きさの箱を作ってリュックに入れる。
そこに手榴弾をはめ込んでピンを抜く。
もし敵がリュックを持ち上げたらそこでドカンだからね、私たちに被害は来ない。
まぁ地雷と似た方法だね。」



私は食料等をリュックに詰め込みながら千鶴に話す。
そして最後にこう続けた。






「生き残れば、また……………あの人に会える」

そう言えば、千鶴は土方先輩のことを思い出したのか、顔が少し微笑んだ。






嘘なんて百年早い

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