激しい痛みが下半身から広がり、何度も痛い、と泣き叫び、涙を零した。
それでも痛み以上に得られるものは、私の中で何とも名付けられない感情となり、愛しさが生まれる。やめようか、と言って離れそうになる彼の腕を引いて、やめないでと頼んだ。

生まれて初めて経験する行為に、少しでも慣れようと、ぎこちない笑顔を浮かべて口づける。でも、それは一瞬のこと。
あとは、彼がなんとかしてくれる。
痛みも喪失感も、嫌なことは全てを忘れさせてくれて、新しいものが刻み込まれる。

だから私は受け入れた。
大好きな彼だから、大切な人だから。
…きっとこの人以外にはいない。そう思って。

私の上に覆いかぶさる彼は、そうやって幾度か私に傷を付けた後で、やがて動きを止めた。
硬い体が落ちてきて、ぴったりと重なる。そのままぎゅうと強く抱きしめられ、私は痛みを忘れ、目を閉じた。掠れた声が私を呼ぶ。

「梅雨」
「へ…すけ、」
「…ありがとう」
「え…?」
「ありがとう…梅雨。好きだよ…ほんとに、ありがとう…」
「……うん」

兵助は、泣きそうな声で何度もありがとうと言った。抱きしめられる力は緩まず、同じ言葉を繰り返す。その言葉に私の方が泣きそうになった。
私も、兵助の背中に腕をまわして指を這わせる。

ねぇ、兵助。
私も、ありがとうって伝えたいよ。
優しくしてくれてありがとう。大切に扱ってくれてありがとう。ずっとずっと、好きでいてくれてありがとう。

「兵助、大好き」

僅かに絞り出した声が思いの他掠れていて、私はまた泣きながら笑った。

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