動きを止めて、一息ついた。

「あー…俺なんか幸せ」

私の上にいる勘右衛門がそう言ったので、私はあえてそう?と聞き返した。

「なんで?梅雨は幸せじゃない?」
「ううん、勘右衛門が幸せなら、私も幸せだけど」
「けど?」
「…まさかこの状況で言われるとは思ってなかったからなぁ」

いつもはすぐに動きだすのに、今日は随分と余裕だ。
声には出さず表情だけでそう伝えてみれば、勘右衛門は、こうしたい時だってある、と答えた。

ぴったりと互いの腰をくっつけたまま動かない。中がどろどにとけて熱いはずなのに、気持ちいいよりも安心するといった方が正しかった。
少しだけ腰を浮かせた勘右衛門が、よっと掛け声をかけて、中を探る。

「ん…」
「気持ちいいか?」
「うん……勘右衛門は?」
「凄くいい」

それから、緩急をつけて弱いところを攻められる。
決して強くはない律動。じわじわと、擦りつけられるように中をいじられて、短い声が小刻みに零れた。

「あ…やっ、ん…あ…っ」

一体どこで覚えてきたんだか。
女を喜ばせるテク。単なる気持ちの問題かもしれないが、たまには違う抱かれ方というのも、酷く心地よい。
さっき勘右衛門が幸せだと言った理由が、ほんの少しだけ、理解できそうな気がする。

優しい腕に抱かれて、いつもより早く、意識が飛びそうだった。

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