シーツの中で体を寄せ合う。
互いを隔てるものは何もなく、直に触れる体温。相手の鼓動。
少し前までは自分の体内に三郎が蠢いていたのだと考えると、おかしな気持ちになる。無意識に口元がつり上がって、笑みが零れた。

「なーに笑ってんだよ」
「え?なんでもないよ…ナイショ!」
「俺に秘密なんていい度胸だ」

そう言って三郎は私の体を引っ張ろうとしたから、咄嗟にシーツを被せてやった。白い波がぐねぐねとうねる。三郎の手がシーツを引きはがそうと、手を伸ばしてきた。私はさらに、自分の体をシーツの中へと隠す。

「こらっ…どこいった」
「ふふふ、」
「まて、この…」

互いの体とシーツが入れ替わり、おいかけっこが始まる。三郎は私を捕まえようと、私は三郎から逃げようとして。シーツの合間をぬって、攻防が繰り広げられる。
しかしついに私の体は捕まってしまった。

「つかまえた」
「つかまっちゃった」

シーツの中で、三郎に押し倒される態勢。私たちは顔を合わせて、ぷっと笑った。
何だか子供みたい。
でも、私と三郎にはこれくらいがちょうどいい。

掴まれた手に三郎の指が絡まって、唇を重ねた。

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