情事が終わってしばらく、私はベッドの上でボーッと天井を眺めていた。 隣でははっちゃんが携帯をいじっている。 「なー、梅雨ー」 「…なーに」 「少し休んだから、もう1か「イヤ」えぇぇ!?」 はっちゃんはパコンと携帯を畳むと、不満そうな顔でこっちを見てきた。 いや、私だってエッチは嫌いじゃないし、はっちゃんとするのは好きだよ? でもねあんた、その台詞今日何度目だと思ってるの! いくら部活が休みだからって、張り切り過ぎでしょ! 「梅雨ー…」 「嫌なもんは嫌なの」 「だって俺、普段あんま休みないんだぜ?」 「…そのたまにのデートで、あんた一体どれだけ盛れば気が済むのよ」 「だって今日まだ2回しかシテないじゃん…」 「回数の問題じゃないから! てかその前に私、口でもシテあげてんだけど? こへ先輩みたいな事言わないでよ…」 「えー」 はっちゃんは緩い顔をしながらも納得がいかない様子だ。 ほんと、1度口でしてて良かった。 全部本番とかだったら、さすがの私でももう体力が残ってなかった。 それなのに、はっちゃんは僅かに残ったその体力でさえ、私から奪い尽くそうとする。 長い腕がスルリと伸びてきて、私の胸に触れた。 「じゃぁ、こっちでいいからさせろよ」 「…この手は何?」 「はははー」 「キモい」 「酷っ! …なぁ、頼むよ梅雨。俺のもう反応しちゃってるからさー」 言ってはっちゃんはやわやわと胸を揉みながら、私の上に跨がってきた。 「ちょっ、」 抵抗しようにも、力ではっちゃん敵うはずもなく、はっちゃんはあっさりと私の胸に、硬くなったそれを挟んだ。 「梅雨は何もしなくてもいいからさ」 「…疲れるから、口もしないよ」 「それでもいいって」 だから少しの間大人しくしててな、とはっちゃんはニカッとした無駄に爽やかな顔で笑った。 これさえなければな…気はきくし、はっちゃんはいい彼氏なんだけど。 「じゃ、動くぞー」 私の胸を両手でギュッと寄せながら、はっちゃんは腰を前後に揺らし始めた。 私の方は、特に感じる事もなくただ谷間にはっちゃんの熱を感じるだけだった。 「んっ…」 「気持ちいの、それ」 「あぁ、いい。柔らかいのに挟まれてるだけで十分にイイんだけど…この態勢だと、梅雨の顔を見下ろせるからな」 「?」 「何かすっごく、服従させてる気がしてっ、興奮する…!」 はぁ、とはっちゃんが息を吐いた。 何てことのない、この形は単なる征服欲が満たされるらしい。 それなら、普段の正常位と殆ど変わらないはずなのに、はっちゃんは確かに興奮していた。 そんなにイイのかな… 少々疑問には思ったが、そんな考えも長くは続かなかった。 何故なら… 「んっ、ちょ、はっちゃん…っ」 「ははっ、やっぱ梅雨の感じてる顔見た方が、興奮する…っ」 「だからって、ゆび…っそ、な…摘まないでよ…っ」 はっちゃんの指が、私の胸を押さえ付けながら器用に先端の実を摘んだ。 途端に私の体は中から疼き始めた。 疲れたはずなのに、はっちゃんを欲しがろうとする。 「やだ…ん、そんな擦んないでよ…」 胸に挟まれた熱にまで反応し、私は首をフルフルと振った。 やばい。 このままじゃ完全にはっちゃんのペースだ。 うっすらと開けた瞼から見上げたはっちゃんの顔は、苦しそうだったけどどこか嬉しそうだった。 「梅雨っ…」 はっちゃんが私の名を呼ぶ度に、私の口からは荒い息が漏れる。 「んっ」とはっちゃんが短い息を吐いた。 「悪い、もう限界みたいだ…」 「んっ、あついよ…はっちゃん、」 「梅雨、気持ちいいか…っ?」 「ぁっやっ、そんな早く、揺すらな…でっ」 何度も何度もはっちゃんのが行き来する。 その度に私は変な気分になって、はっちゃんが喜ぶ声を上げてしまう。 はっちゃんは一度体を曲げて、キスを落としてきた。 それから、腰の動きはまた早くなった。 「ふぁっ、は…っちゃ、んっ、はっ…」 「――はぁっ、梅雨…イクぞっ」 「んっ来て、はっちゃん…っ」 「―――ッアァ!!」 ビュビュッ…! はっちゃんが息を切った直後、はっちゃんから大量の精液が吐き出され、私の顔に降りかかった。 「ぁっ、」 熱くてドロリとしたものが触れる。 はっちゃんはイッた後も何度か腰を動かし、最後まで搾り出していた。 顔に直接出された事もあり、鼻をつく臭いは強烈だ。 私はすぐにでも拭いてしまいたかったけど、上にはっちゃんが跨がったままだったので、動くに動けなかった。 「ん…悪いな、顔にかけちまった」 「…はっちゃん、最初からそのつもりだったでしょ」 「あ、バレてた?」 「わかってたよ」 それでも最後までするのを許してしまった私は、全てを許してしまってたって事だけど。 はっちゃんはちょっと焦りながら、ごめんなーと謝り続けた。 謝るのはいいから、早くどいてくれないかな。 「はっちゃん、もう降りてよ」 「あっ、うん…」 「…何その曖昧な返事」 「だって俺、何か嬉しくってなぁ」 「はぁ?」 「や、ごめん…こういうのって、一種の男の憧れみたいなモンだからさ…好きな子の顔に、自分のをかけるのって…」 「………」 「ちょ、無言で睨むなって!」 「はっちゃんなんて知らない!」 ホント悪かったって! とはっちゃんは私の上からどくと、謝り倒した。 私はティッシュで顔に降り懸かったものを拭いていく。 とりあえず拭けるところは拭いたけど、すぐにシャワー浴びた方がいいかもしれない。 髪にもついちゃったし、ベトついて臭いも落ちない。 ちらりとはっちゃんを見ると、はっちゃんは心配そうな顔でこっちを見ていた。 「シャワー浴びるか?」 「うん」 「手伝ってやるよ」 「いいよ、別に。…っていうか、怒ってないからもうそんなに気を遣わなくていいよ」 「ホントに…怒ってないか?」 「呆れてはいるけどね」 だって、男の憧れって言っても、どうせAVの影響か何かでしょ? 単純なんだから。 そう言ってやると、はっちゃんは顔を真っ赤にしながら「ちっ違うって!」と否定したけど、私は知ってる。 はっちゃんのコレクションの中に、顔射シリーズがある事を。 「…ま、私もはっちゃんの事好きだから、それくらいなら許してあげるけどね」 ベッドを出ながらそう言ったら、はっちゃんが「梅雨愛してる!」と言いながら抱き着いてきた。 好きだから …どうでもいいけど、早くシャワー浴びさせてね。 はっちゃんが出したのが、固まっちゃうよ。 |