今日もいい天気だ。青い空にきれいな白い雲がいくつか浮かんでいる。少し汗ばむくらいの陽気で時折吹く風が心地よく髪を揺らす。

高校に入学してから三ヶ月が経った。小さい頃からの付き合いの友達が四人いることもあって、高校生活に慣れるのは早かった。
 でも俺には入学当初から気になっていることがある。いちばん最初は入学式の日、体育館の裏で桜を見ていたとき。それからは教室で昼食を食べているときや移動教室の廊下、登下校中も。何だか誰かに見られているような気がするのだ。はじめはただの思い過ごしだろうと特に気にもしていなかったのだが、どうも気のせいではないと思い始めたのは先月くらいだったろうか。
俺は一度気になり出すととことんまで気になってしまう性格だ。この視線の主が誰なのかを突き止めようと思う、と小さい頃からの付き合いで同じクラスの勘右衛門に言うと、勘右衛門はにやっと笑った。

「兵助けっこうぼんやりしてるからなぁ。見つけられるかな?」
「見つける。このままだと気になって夜も眠れなくなりそうだから」
「あー…それはそれで面白いかも」

飄々とした笑みのまま無責任なことを言う勘右衛門に少しムッとする。よく俺はぼんやりしていていると言われるが決してぼんやりしているわけではなく、色々な事を考えているのだ。それにしても勘右衛門の口ぶりは何かを知っているような感じだ。


「…俺の事を見てるのが誰だか知ってるのか?」
「知らなーい。全然知らなーい」


わざとらしくあらぬ方を見ながら答える勘右衛門を一発殴ってやろうと立ち上がると、勘右衛門も慌てて立ち上がりカバンを引っ掴むと、「そのうち会えるって!」と言い教室から走って出て行ってしまった。今の言い方からすると、やっぱり知ってるんじゃないか。問いつめてやろうと教室を飛び出すと、同時に隣のクラスからも女の子が走り出てきて、目が合った。

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