「最高だっただろ?」


蛙吹が意識を取り戻した時、乱れた夜着を直してやりながら私はにやりと笑った。
蛙吹は上手く体に力が入らないらしい。
だが、頭は正常に働いているので、私の質問にぽっと顔を赤らめた。

「びっくりした…自分の体があんな風になるなんて…」
「女の体は男より達するのが難しいと言われてるが、その分快感は強いらしいからな」
「私、まだ膝が震えてるよ…」
「余韻があるのも、女の特徴だ」

私は説明しながら、蛙吹に全ての女がそう簡単に達せる訳じゃない事を教えた。
ただ、誰しも弱い部分や強く感じる部分はあるので、上手に愛撫してやれば気持ち良くなれるということも、忘れずに伝えておく。

「じゃぁやっぱり、鉢屋くんは凄く上手なんだね…」
「伊達に経験を積んでる訳じゃないさ」
「鉢屋くんは、どこでこういうこと習ったの?」
「それは秘密」

蛙吹が口をアヒルみたいに尖らせて拗ねたので、私は笑いながら口付けた。

「え…?」
「何だ、今更恥ずかしいものでもないだろう」
「そうだけど…」
「今日は蛙吹に自分の体のことを知って貰った訳だが、次からは男の体のことも教えるぞ。これを知らなきゃ、練習の意味がないからな」
「それって、私が鉢屋くんの体に…さっきみたいなことするの?」
「そうだ」

肯定すると、蛙吹はまた顔を赤くしてそっぽを向いた。

「おいおい、恥ずかしいのは私も同じなんだぞ。むしろ私なんか蛙吹の為に自分の体を晒け出さなきゃいけないんだ、どう考えても損だろう」
「で、でも…」
「最初は見るだけでもいい。少しずつ慣れていけばいいから」
「うん…」
「まぁ、最終的には口で達せられる程度には上達して欲しいけどな」
「やっぱり無理だよぅ…!」

耳まで赤くした蛙吹は、ぷるぷると首を振って否定した。
自信のなさが窺える。
だが、最初から上手くできる人間なんていない。
こればっかりは経験が大きくものをいう。

「大丈夫。私がちゃんと、一から教えてやるから。蛙吹はそれを覚えて実行すればいいだけだ。できないことじゃない」

ぽん、と小さな頭に手を乗っけてそう言えば、蛙吹は遠慮がちに頷いた。
そして、小さな声で一言。

「が、頑張るね…」

その調子だ。

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