あの日から、私は夜に蛙吹の部屋を訪れることが日課となっていた。
指導を始めて以来、蛙吹は段々と私との接触にも慣れてきて、手探りではあるが自分からも行動を起こそうとする。
その動きはまだ拙く、私を満足させるものではないが、接吻の度にいちいち顔を赤らめていた頃と比べると、大きな進歩だ。
今だって私が舌を絡めて深い口付けをしてやれば、僅かながらに応えようとする。
そんな健気なところは、男の気を引くには十分だろう。

「ん…ふ、ぁ…んぅ…」
「ちゅ…はっ、ん…」

互いの舌を擦り合わせて軽く吸う。
唾液はどちらのものかわからない程溢れ、混ざり合う。
それを蛙吹の口の中に押し込み、飲めと伝える。
蛙吹はこくりと喉を鳴らして、私たちのそれを飲み込んだ。

「は…ちや、くん…」

唇を離した蛙吹の目がとろんとして、うっすらと水の膜が張っている。

「蛙吹にはまだ早かったか?」
「う、ううん……大丈夫。だけど体に力が入らなくて…」
「私の言った通りだっただろう」

得意げに笑ってみせれば、蛙吹は泣きそうな顔をして首を縦に振った。
気の抜けた体を布団の上に横たえ、私は蛙吹に覆いかぶさる。

「まずは自分の体を知ることから始めるか」
「…ぇ、?」
「ん?あぁ、怖がらなくていい…今よりももっと気持ちよくしてやるだけだ。痛くはしないし、最後まではしないから安心しろ」

私の言葉に蛙吹は静かに腕の力を抜き、身を預ける。
この状態でお預けって、ホントに私は損だよなー…
でも今は蛙吹を気持ち良くすることに集中しないと。
私は蛙吹の首に顔を埋めながら、胸や腹に手を伸ばす。
蛙吹は小さな声を上げ、はっと手で口を覆った。

「我慢するな、と言いたいところだけど…周りに気付かれると面倒だしな。少しだけ気を付けろよ?」

蛙吹はこくこくと首を振り、なるべく声を出さないよう必死になる。
だが、そんな健気な表情を見ていると、私の方が我慢してられない。
蛙吹の手を外し、自らの唇で塞ぐ。

「んんっ…」
「っは……、やっぱ声我慢しなくていい。私が飲み込んでやるから」
「は、ちやく…っ、んむぅ、ん……ふぁ、んぅ…」

蛙吹が出した声は、全部繋がった私の口に飲み込まれて、部屋には二人の吐息と布擦れの音しかしない。
蛙吹の袂を割り、中に手を侵入させる。
柔らかい乳房をぐるりと円を描くように刺激し、強弱をつけて揉んでいく。
蛙吹の顔はいっぱいいっぱいだった。

「感度は悪くなさそうだが…こっちはどうだ?」

丘の頂きにある実をきゅっと引っ張ってやれば、蛙吹は涙を零して喘いだ。

「はぅ…はちやくん、それ、なんかやだよぅ…」
「これはな、嫌だってことじゃない。気持ちいい反応なんだよ」
「きもちいい…っ?」
「初めての感覚で戸惑うかもしれないが、蛙吹は感じているんだ。胸を触られて、こうして先を弄られて…」
「あっ、だめぇ…!」

蛙吹の体が左右に揺れる。
余程快感が強いらしい。
だが、それを言ったら私だって同じようなものだ。
さっきから蛙吹の体に触れ、声を聞き、表情を見ていれば……自然と反応してしまう。
正直最後までしてしまいたいと思うが、飽くまでこれは手ほどき。
最後まではしないと、自分でも言った。

「蛙吹…少し辛いと思うが、声は何とか抑えてくれよ」

私は夜着からまろび出た蛙吹の乳房に舌を這わせ、触れるか触れない程度の加減で、ゆっくり先端にたどり着く。
すぐには吸い付かず、乳輪のあたりをくるくると舐める。
すると、今まで以上に反応した蛙吹が、私の頭を押さえてきた。

「やぁん……ねぇ…はちやくん…からだがおかしいの…」
「…どんな風に?」
「体がっ熱くて…くすぐったいんじゃないけど、変な感じがして…」
「あぁ」
「それ、されると凄い足の間がむずむずするの…やだ、恥ずかしいよぉ…」

蛙吹はいやいやと首を振るのだが、恥ずかしいのは今更だと思う。
色の手ほどきを頼んできた時点で、こうなることはわかっていたはずなのに…
私は焦らしていた乳首にようやく吸い付き、口の中で思う存分遊んでやる。
隣の乳房は手で揉みながら、先っぽを指で引っ張ったり摘んだりして、同じように可愛がる。
蛙吹は先程からずっとふとももを擦り合わせていた。

「――はぁ、」
「あっ……んん、ねぇ…もうやめて…?これ以上したら、私の体、変になっちゃうよ…」

ようやく乳首から唇を離した時、蛙吹はそう言って懇願した。
だが私はそれを了承しなかった。

「今止めても、体がつらいことには変わらないぞ。一回、達した方がいい」
「た、達し…?で、でも、そんなの、どうやって…」
「心配しなくていい。私の舌使いは十分知っただろう」

不安そうに私を見る蛙吹にもう一度口付けを落とし、下帯に手をかける。
さすがにその時は、蛙吹も精一杯の抵抗をした。

「やだっ、そんなとこ、見せられないよ…!」
「本番では全部脱ぐだろう?その時今と同じ事を言ったら、減点だぞ」
「で、でも…」
「明かりだってほとんどないんだし…いい加減羞恥心を捨てろ。お前はくのいちになるんじゃないのか?」
「っ……」
「大丈夫だ、悪いようにはしない。絶対に」

腕の力を抜いた蛙吹から、下帯の結び目を解いて、中に手を伸ばす。
蛙吹はぎゅっと目をつむった。
そうだ。
割り切れなければ見なければいい。
蛙吹の柔らかいふとももを撫でながら、茂みの奥に指で触れた。
くちゅりといやらしい音が響き、とろとろの液体が尻の方まで垂れていた。

「凄く濡れてる…」
「っ!ゆわないで…っ」
「いいことじゃないか。本番もこの調子なら、失敗することないだろう」
「だ、だって…」

必死に顔を背ける蛙吹の割れ目をなぞり、指に蜜を絡ませる。
入口に第一関節程度までを埋め込ませて、様子を見ながら動かした。
くぷ、ぬぷ、ちゅぷ、ぺちゃ。
様々水音が泉から聞こえてくる。

「はぁ…あ…っ……はち…や…くん……っ」

蛙吹は既に羞恥の限界にきているようで、音が聞こえる度に足を閉じてしまいそうになる。
入口とその上の肉芽を弄りながら、私は蛙吹に話し掛けた。

「蛙吹、知ってるか?女の体はな、入口の近くに性感帯が集中してるんだ」
「な…うぇ、?あっ…あん……」
「慣れた女ならまだしも、蛙吹は初めてで、指を奥まで挿れらるのは怖いだろう。だから、私が弄るのはせいぜいここまでた。だが、それで蛙吹に絶頂を体験させてやるよ」
「ひゃうっ!ふぁ…っ……ん、あ…あん…!」

肉芽をぬるりと撫でてやれば、蛙吹は甲高い声を出して体を跳ねた。
それを押さえ付けるように、私は両腕を蛙吹の足に絡め、蜜の湧き出る泉に顔を近付ける。
味わうようにべろり、とひと舐めしてやれば、蛙吹は「あっ!」と喘ぎながら枕に顔を押し付けた。
指より格段に柔らかく湿った舌は、想像以上の快感だろう。

「ふ…ちゅ……はぁ、ん…」

入口で掬った蜜を塗り付けるように、肉芽の周りをつつく。

「はぁ…くぅ……んっ、あぁぁ……」

ちらり、と視線を上げれば息を乱した蛙吹の顔が目に入って、私自身の気持ちもたかぶった。

「蛙吹…」
「はぁ…はぁん、な…に、?はちやくん…」
「…これから背筋が突っ張るような快感がきても、逃げないで受け入れるんだぞ。そうしたら、それが達するということだから」
「ん…、?わか、った…」

蛙吹は私が言うことをいまいち理解していない様子で、とりあえず返事をしたようだった。
まぁいい。
どういうことか、すぐにわからせてやる。
私は口淫を再開して、蛙吹の肉芽をたっぷりと可愛がった。
溢れんばかりの唾液と蜜で濡らしながら舌を滑らせ、肥大化してきたそれを口に含み、吸ったり甘噛みしたり。
その間指を使って入口をずっと撫でていた。
限界はすぐにやってきた。

「ふぁっ、や……はちやく、だめ…っなんか、だめ…!」

足を揺らす動作が大きくなり、私から逃げようとする。
しかし私はがっちりとその体を捕らえ、逃がさず口淫を続ける。
ついには蛙吹が言葉を忘れて、単語にすらならない声をあげて首を振った。

「や…うん!あっ、ひぁっ、あっ、やぁん!」

肉芽はもう痛いくらいに勃ち上がっている。
男のそれと比べたら、全然可愛いらしいけど。
気持ち良すぎて、苦しいんだろうな。
だから、早く達しろ。

「んっ、や…あっ、う!あっ――」

ビクリと、蛙吹の体が揺れて固まる。
キタか。
私は最後にめい一杯肉芽に吸い付き、指を素早く滑らせた。
途端、蛙吹の背中が浮いてビクビクと激しく痙攣した。
声にならない声が弾け出る。

「あっ…あぁぁ…っあ…ん……!」

そのままぱたりと意識を手放して、力が抜けた。

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