生物の世話をしているのを見ているだけだった。
別に恋仲になろうとか、そう言うことじゃない。
ただ見ていただけだ。
毒蛇のジュンコさんと戯れている彼を木の影から見ているだけだった。
近くに行かないのかって?
行けるわけ無いじゃない!
だってあの綺麗な絵になるような2人(1人と一匹)に割ってなんか入れない。
「先輩気持ち悪いよ」
隣にいつの間にか居た夢前が無邪気な笑顔で言う。
…無邪気?
邪気だらけじゃないか、これは。
「せんぱーい。なにやってるんですか?暇なら手伝ってくださいよー」
「暇じゃない、決して暇じゃない」
虫網を持った夢前はその虫網でぺしぺし叩いてくる。
何なのあんたは!
いいから、おとなしく逃がした毒虫捕まえてきなさいよ。
視線を戻せばそこには伊賀崎君が…いなかった。
「あー、さっきどっかに行っちゃいましたよ」
笑顔で言う後輩に殺意が芽生えました。
もっと早く言え!
でも私は先輩だから言わないでおいてあげるわよ!馬鹿ぁ!
「あれ?伊賀崎君いない?」
「しゃー」
「どこ行ったんだろう…」
「しゃー」
「ってジュンコさんじゃない!いつ見てもおきれいで」
「しゃー」
気がついたら隣にジュンコさんがいた。
また脱走かな。私が思うにジュンコさんは伊賀崎君が嫌いなんじゃなくて、きっと外の世界を見てみたいんだと思う。
だって、ジュンコさんも伊賀崎君のこと大好きだ。
いいな。相思相愛。
なんでさんづけ?というかというとジュンコさんの方が私より伊賀崎君を好きな時間が長いから。
先輩というわけだ。
うん、ジュンコ先輩。
それを友達に話したら変な目で見られたから、ジュンコさんで落ち着いた。
たいていジュンコさんは私が話すと威嚇をする。
仲良くしたいのに一方的に嫌われているらしい。
かなり寂しいです。
「ジュンコさーん、威嚇はいただけないよ。仲良くしようよー」
「しゃー」
「はぁ…私はジュンコさんのこと羨ましいんですー。だって、伊賀崎君に好きって言ってもらえるし、名前呼んでもらえるし、いつも隣に居れるし…」
私なんか名前どころか、存在を知られてるのかどうか…。
「ジュンコ!」
いきなり出てきた伊賀崎君にかなり驚いた。
手には網を持っていて、あ、そっか。
捜索中か。と当たり前のことを思ったりする。
「ねぇ」
「は、はい!」
「………。ジュンコと話してたことだけど」
「さっきの聞いてたんですか!?」
「聞こえた」
「はい…」
「で、さっきの事だけど。きっとジュンコは君の方が羨ましいんだと思う」
「わ、私がですか!?」
「だってジュンコは人間の言葉が話せないから。だから、何を思ってても言葉には出来ない。でも君は違うだろ?」
確かにそうだ。
反対に私はいろんなことを伝えられるって事だ。
なるほど、納得だ。
「じゃあ、言ってみなよ」
「へ?」
「僕は蛙吹が好きなんだけど、君はどう?」
「!」
名前知ってたんだ!
どさくさに紛れて告白された気がする。
気がするんじゃない!現実だ!
「私は伊賀崎君が好きです!」
「うん。知ってる」
(私には言葉がある)
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ジュンコは孫兵がヒロインのことが好きで、ヒロインも孫兵のことを好きって知ってたからヒロインが嫌いでした。はっきりしろよ的な意味で。
リクありがとうございます!
相互記念の方も急いで仕上げます!
みどりーぬ様のみお持ち帰りです。
リクありがとうございました。