突然服を脱ぎ出した私に、三郎は驚いて声を上げた。

「え、梅雨?どーしたんだよ」
「………」
「おい梅雨?…って、」

下着姿にまでなったところで、私はうろたえる三郎の首に腕を絡めてキスをした。最初は驚いていた三郎だけど、舌を擦り合わせて何度も求めるとそれに応じるように私の体を抱きしめた。
互いにキスに夢中になりながら三郎のシャツに手を伸ばしてボタンを一つずつ外していく。その時には三郎はすっかりその気になって、私の背中や尻に手を這わせてなぞった。

「っ…梅雨が誘ってくるなんて、初めてだな」
「まぁね」
「一体どんな心境で?」
「それは教えない」

まさか浮気を止めさせる為に私の体の良さを教えこもうだなんて、結果的に後で言ったとしても今ここではネタばらしはしない。
あっという間に下着になった三郎の股間を触るとそこはもう熱を持っていた。キスをしながら手でぐりぐりと弄る。三郎の口から低い声が絞り出された。

「っ、梅雨今日ほんとに積極的…」

私の行動には特に嫌がった様子もなく、むしろ嬉しそうに笑いながら三郎は言った。良かった。まぁ思い返せば今までが受け身過ぎたのだ。三郎にはフェラだってしてあげた記憶もなければ、まともに彼の陰部に触ったのはそういえば今が初めてなのではないかと思う。
何となく久々知の言っていた意味を理解して、そりゃぁ浮気もしたくなるわなと私は悟った。悟ったついでに、三郎をベッドまで引っ張って押し倒す。今日は私が上。初めて見下ろした三郎の顔は、高揚していつもとは大分違っていた。

「三郎、私のこと好き?」
「突然何言ってんだよ…」
「ねぇ、答えてよ。好き?」
「…好きだよ」
「良かった。私も三郎のこと好き」

これまた私にしては珍しく自分の気持ちを素直に表し、三郎の体にキスを落とした。上から順に首筋、胸、腹、へそと。
三郎は気持ち良さそうな声を上げて私の胸へと手を伸ばした。カップをずらし、柔らかなそこへと指を埋める。私の体が段々と下に行くと届かなくなって、代わりに優しく頭を撫でた。
三郎の下着を引き下ろした私は、そこに現れた彼の一物を前にごくりと唾を飲む。これからが腕の見せどころ。
三郎は今まで私にフェラをしてもらったことはなかったから、半分期待半分不安そうな顔で私を見ていた。そんな顔しないでいいのに。これでもそれなり場数を踏んできているんだから、少なくとも昨日の女よりは上手いはず。すぐに気持ち良くさせてあげるよ。

「ん…」
「っ、」
「はむ…んっ…んんぅ、ちゅばっ」

ちろちろ、なんてそんな可愛い舐め方なんてしない。ただ性急に快感を与え本能を刺激するような動作で頂点に導く。私にしてみれば慣れた作業でも、三郎にするのは初めてだった。
案の定三郎は男のくせに何度も快感に堪える声を漏らし、私が喉の奥までくわえこんだところで射精した。口いっぱいにしょっぱいとも苦いとも言えぬただ気持ち悪い味が広がって、いつもなら吐き出してしまうそれを、今日ばかりは全部飲み込んだ。
少しだけ息を乱した三郎と目が合うと、快感に入り交じって何とも不安そうな色を見せていた。恐らく、今まで何もしなかった私がどうして急にこんなことをし始めたのか、しかもどうしてこんなに上手いのかわからなくて戸惑っているのだろう。
でもね、それを教えるつもりもなければ知る必要もないんだよ。三郎はただ、私の与える快感に酔いしれて、私の体から離れられなくなければいい。

その後は三郎が回復するまでしばらく全身にキスをしたり後の穴に指を突っ込んだりして待って、完全に勃ち上がったところで私は三郎を自分の中に埋めた。三郎はずっと苦しそうな顔をしている。突然こんな刺激は強かっただろうか。色々と。

「三郎、気持ちいい?」
「あぁ…、」
「じゃぁもっと良くしてあげる。きっと三郎、すぐイッちゃうよ」
「梅雨、ゴム付けてない…」
「いいよ、中で出して」
「でもお前、今日は危険日なはずじゃ…」
「あぁ、そのことなんだけど、ごめんね?私ピル飲んでるから、基本的にいつ出されても平気なの」
「な…」
「今まで黙っててごめん。だから今日はいっぱい出していいよ」
「そんな…、っ!」

三郎の言葉をこれ以上紡がさせず、私は腰を揺らして動いた。騎乗位は少し疲れるけど慣れていれるからきっと最後まではできるはず。
三郎の上で腰を上下しつつ、私は三郎の好きな声を上げて、中をわざと締めた。三郎が苦痛にも似た声を漏らす。そのまま何度も律動を繰り返していれば、三郎が下から突き上げる分も加わって、三郎は呆気なく果てた。中にじんわりと熱が広がる。
繋がったまま上体を三郎の体に重ねると、啄むキスを繰り返した後に私は三郎の耳に囁く。


「ねぇ、昨日の子と私、どっちが良かった?」


途端、三郎の顔からは血の気が引いていった。

<< < 1 2 3 4 >
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -