久々知が私の指名客になってくれてからというもの、私と久々知との関係はずっと続いた。

久々知は月に1,2回のペースで店を訪れては私を指名した。私の時間が取れるまで何時間かかろうと、他の女の子を指名することはなく、私だけを選び続けてくれた。そんな久々知は元々私の友人であるから、仕事以外でも普通に会うし、酔った勢いとか場の雰囲気に流されて、店外でも関係を持ってしまった。だけど私たちの関係はいつまで経っても変わらず、店外で関係を持った後でも久々知はちゃんと店に来てくれた。

そういった意味で私は久々知を凄く信頼してて、彼には何を話しても抵抗はないし、相談をすれば的確なアドバイスをくれる彼に親友以上の何かを抱いていた。それが久々知に対する恋心かと言えば少し違ったけれど、何度も体を重ねている分、私だって久々知のことを知っているつもりだった。
ある日私が三郎に告白されて、どうしようかと久々知に相談したら、彼は予想通りの言葉をくれたのである。「梅雨の好きにすればいいよ。でも、後悔するような結論だけはだすなよ」と。久々知は少なからず私に好意を寄せていてくれたけど、それはどちらかというと兄が妹を見るような温かい眼差しだった。兄が妹に手を出すなんて本当はおかしいけど。

だから私は一人悩みに悩んで、最終的には三郎の気持ちを受け入れることにした。三郎はいい奴だし高校の時から何かとつるむことが多く、仲も悪くはなかった。
けれどソープで働いていることは中々言い出せなくて、困っていた私に久々知は「無理に言わなくてもいいんじゃないか」と言ってくれた。その言葉に私は背中を押され、ある意味開き直りともいえるような何も知りませんという態度を貫き、現在では三郎との同棲にまで至る。

三郎は未だ、私がソープで働いていることを知らない。知ったらどんな顔をするだろう。久々知の言葉じゃないけど、間違いなく発狂はしそうである。
一緒に暮らすようになってわかったけど、三郎は淋しがり屋で何でも私のことに関知したがる。側にいて甘やかしてやらないとダメなのだ。それなのにソープで働いているのがばれていないというのだから、どれだけ三郎は鈍感で私は悪い女なのだろうと常々思う。本当に気付いていないのか疑心暗鬼になったこともしばしば。その度に久々知の「大丈夫だから」で安心し、仕事に精を出していた。

…もしかしたらそのせいで私は三郎に寂しい思いをさせてたのかもしれない。浮気するのだって、私の代わりで寂しさを紛らわせようとしたり、あるいは、ないとは思うけど昨日の浮気はそれを気付かせようと、わざとうちに連れ込んだのかもしれない。
私は三郎じゃないから三郎の真意はわからないけど、三郎は昔からよく人の気を引く為にひねくれた行為に出ることがあった。だから今回のことももしかしたら。



「…三郎、こっちに来て」
「何?」
「いいから早く」

私はシーツを取り替えたベッドの前に三郎を呼び付け、怪訝そうな顔をしている彼の目の前で服を脱ぎ始めた。

<< < 1 2 3 4 >
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -