兵助の部屋の前に着く。 …静かだ。 「はい、お先にどうぞ。」 兵助は戸の横に立って、戸に手を添えると、私に言う。 その声は静かに響いた。 「ありがとう」 私は、兵助に微笑んでお礼を言うと、兵助も微笑んだ。 そして、兵助は戸をひいてくれた。 がらり、と戸を引く独特の音が、した。 兵助の部屋の中の灯りは消えていて、真っ暗、だ。 「「「「「梅雨、誕生日おめでとう!」」」」」 重なる声は、聞き覚えのある声。 「え…!?」 「梅雨、誕生日おめでとう。」 私は驚いて、口から言葉が飛び出た。 そして、後ろからは…兵助の声がした。 兵助が呟いた時、灯りがともされて、部屋の景色はみるみる色づいた。 「どうしたの…!?」 そこにいたのは、私の友達である、勘ちゃんや三郎、雷蔵、ハチ。それにくノたまの友達。 「…梅雨、お前…私達が祝わないとか思ってただろ」 ニヤリ、と三郎が笑って、私はその質問に頷く。 「そんなわけないでしょ!」 私の頷きをみた、くノたまの友達が私に言う。 「だって、今日…一緒にご飯食べれないとか言ってたじゃない!」 「あれ、食堂で食べれないって言っただけだよ?」 「…嘘だー!もうー!」 私は凄く嬉しくて、凄くドキドキしている。 ああ、私幸せです。 きっとこの日を忘れられない。 「僕達ずっと計画練ってたんだよ?梅雨ちゃん」 「雷蔵ー」 「あ!梅雨が泣いたー」 「あー!もう!みんな大好き!…うわー!」 「大丈夫か?!…顔ふけー」 友達の言葉や雷蔵の言葉や、微笑みに、私は安心や嬉しさから涙が溢れ出てきた。 それにびっくりした勘ちゃんやハチが、慌てて宥めてくれた。 「梅雨、」 「へーすけ、」 兵助は私の頭を撫でてくれた。そして私の瞳からぽろぽろと溢れ出す涙を指で拭ってくれた。 「安心して?不安になることなんてないんだ。お前は愛されてる。みんなからも、私からも。それはきっと変わらない、何年後の誕生日になっても、ずっと。…一緒だ。」 兵助はそう言って、私の大好きな微笑みを見せてくれた。 みんなや兵助の言葉の一つ一つは、私のおもりをこなごなにした。 その微笑みを見つめた私は、やっぱり幸せ過ぎるんだな、なんて実感した。 そしていっそう彼がいとおしいと思った。 そして、みんなが大好きで、大事な仲間だと、更に私は実感した、今年の誕生日。 私はまた一つ大人になっていく。 …みんなと。 -- 100620 みどりちゃんに勝手に書いたはぴば夢! 遅くなってごめんよ(・∀・)! 誕生日おめでとう(*>ω<)! << < 1 2 3 > |