そんなことを考えながら、一日一日をぐだぐだと過ごして、今日は誕生日当日。
今はくノ一の教室。…誰にも、何も言われない。

誰も覚えてくれてないの、なんて思いながら、私は憂鬱な気分で今日を過ごした。

夕方になったら、兵助がお祝いしてくれるから。きっと私が生まれたことを祝ってくれる。そんな風に思いながら、今日の授業を過ごした。

憂鬱な気分で授業を受け終わり、お昼になった。

「お腹すいたねー、梅雨。」
「そうだね」
「あ、そういえば言い忘れてたけど今日、夕飯の時、私、食堂で食べれないんだよ。用事があってさ」
「そうなの?大丈夫だよ。私も用事あるんだ」

私は、掠れた笑いで笑顔を作る。私が用事あるのも事実だけれど…ぴしり、と心が割れそうで。
私って、こんなふうだったっけ、一人だったらこんなに寂しいものなんだ、なんて思った。

「そっかあ!なら良かった。」
「うん…」

笑顔で言う友達に、私は力なく笑い、おばちゃんにありがとう、と言ってお盆受けとる。そしておばちゃんの作った美味しい料理をまるで機械のように口に運びながら、食事を終えた。
…美味しい、とは感じたけれど、凄くむなしい食事だった。

食事を終えて、午後の授業はないから、一人部屋に戻る。
少し涙ぐみながら、私は部屋で眠った。

…ハッとして起きると、もう夜だった。戸から、少しも光が入ってこないから、きっとそうだ。
認識したあと瞼が重くて、落ちる。うっすら瞼をあげると目の周りがパリパリとしている。涙で乾燥したみたいだった。
兵助との約束!…と私は思いながら、ガバッと起き上がる。

「起きた?」

隣で声がして、一瞬びくり、と震えると、私は寝起きで渇いたのどから声を発した。

「へ…すけ?」
「うん、私」

ふふ、と彼が小さく笑ったのが分かった。

「ゆっくり寝れたか?」
「うん、」

だんだん暗闇の中でも目が冴えてきて、私は兵助の手をぎゅ、と握った。

「どうかしたか?」
「なんでもないよ」

兵助は私の手を握りかえしながら私に聞く。

「そうか、なんかあったらいつでも聞くからな。」
「…ありがと」
「…夕飯、食べに私の部屋にいこうか?お祝い。」
「うん、お腹すいてきた。行こう!」

私がそう言うと、兵助は立ち上がり、私の手を引いてくれた。

「…豆腐、用意しといたらから元気出せよ」
「元気になるのは兵助じゃん」
「まあなー」
「もー」

冗談が面白くて、沈んでいた心のおもりは少しずつ、外れていく気がした。


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