「梅雨の誕生日にお祝いしようか」

珍しく兵助からのお誘いがきたと思って、思わず顔がにやけた。

それと同時に私の誕生日が近付いてきていることを私は兵助を見ながら思った。

兵助は、睫毛びっしりな大きな瞳をぱたぱたまばたきしながら、私を見つめていた。

そんな兵助をカッコいいなあ、だとか可愛いなあ、だとか頭でのろけながら、私はニヤニヤとした。

…ニヤニヤって、どっかの変態…変装名人みたいだ。…やめよう。

「…うん、楽しみにしてる」

そんな邪念を仕舞いつつ…私は、とびっきりの笑顔を見せながら、兵助に返事をした。

兵助に出会って、三年。
兵助に恋して、三年。
兵助と付き合いだして、一年半。

まだまだ私の兵助への愛はとどまることを知らない。

のろけっぽいけれど…幸せ満開、です。

そして、更にある幸せ。
兵助と私が付き合いだしてから、新たな友達が増えたこと。

兵助と同じクラスの勘ちゃんに、クラスは違うけれど、同じ学年の友達である、三郎に雷蔵にハチ。

三郎は馬鹿なことばっかりするけど良い奴。そして他のみんなも良い奴。
一緒に過ごすに連れて、だんだん、私のくノ一教室の友達とも仲良くなってるみたいだし、私はそんな私達の世界があることに幸せを感じてる。
兵助の友達が、こんな良い子達で、それに私の友達にもなった事実を私は日々、実感しつつ感動したりしている。



「良かった、もう他の友達と予定くんでたらどうしようかと」

そんな私に兵助は、はははと苦笑いしながら言った。

「大丈夫だよ、」

そう言って、私も苦笑いした。

兵助が言うようなそんな心配は、実は…なかったり、する。
私…誕生日のことについて、何も言われてないんだよね。

去年は、まだみんなが仲良くなかったから、先に友達がお祝いをしてくれて、その後日、兵助がお祝いをしてくれた。

今年は誕生日の七日前になっても、何も言われなかった。
兵助は三日前である、今日言ってくれたから良いけどね。
なんだか、正直とてもショックだった。
…なんか、寂しくて。

友達が大好きだからこそ、こんな想いを抱えてたりするけど、幸せが続いてるからって、私はきっと欲張りなのかもしれないな、なんて思った。


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