明かりのない長屋の廊下を音を消して歩く。通り過ぎる部屋の中からは時折明かりが漏れているところがあり、俺は指示された部屋を間違えないように慎重に足を進めた。
人の気配がする部屋は、全部実習のためのくのたまが控えているのか。
俺は目的の部屋の前まで来ると、足を止めて息を吐いた。

「失礼します、」

障子に手を掛け、ゆっくりと開けると中はほんのりと薄暗く、明かりは一つしかなかった。
そして敷かれた布団の横に、蛙吹先輩が座って待っていた。
先輩は俺を見ると薄く微笑む。
夜着に身を包んだ蛙吹先輩の姿に、俺は思わず息を飲んだ。
まだ触れてもいないというのに、半端じゃない色香が漂っている。
本当にこの人は綺麗だ。

俺は蛙吹先輩の前に座ると、軽く挨拶をした。

「遅くなってすみません…」
「大丈夫よ、そんな待ってないし」
「はぁ…えっと、」
「ね、竹谷はすぐに始めるのと話をしながら進めるの、どっちがいい?」
「えっ?」
「一応、聞いておこうと思ってね」

にこにことした先輩が告げた提案に、俺はしばし考える。
本音を言ってしまえば、すぐにでも先輩を押し倒してその体を自由にしてしまいたい。
その為に来たのだし。
だけどそれを実行するのは余りにも煩悩的で、何だか格好悪い気がする。
したいことと実際にできることというのは全く別のもので、女の扱いを知らない俺には無茶も無謀もいいところだ。

俺は軽く頭をかきつつ、

「じゃぁ、何か話しながらで…」

と答えた。
先輩は笑って、そう言うと思った、と言った。

蛙吹先輩の手が俺の手を引き、俺は布団の真ん中に座らされた。
先輩はすぐ前に正座しながら、真っ直ぐと俺を見る。
さっきよりぐっと縮まった距離に、俺は表情に出さずともどきどきしていた。
先輩にはバレているかもしれないけど。

「さて、話ながらとは言ったけど、何の話をしたらいいかしら」
「あの、俺蛙吹先輩に聞きたかったんですけど…どうして俺を選んだんですか?」

級友たちにもずっと不思議がられていた理由を知りたくて、俺は先輩に問い掛けた。
先輩はんー、と少し迷ったみたいだけど、すぐに口を開いてくれた。

「そうよね、やっぱり気になるものね」
「そりゃ…はい」
「こういう時、相手は大体六年の中から選ぶのが常なんだけど、四年以上だったら別に誰でもいいのよ。私も、実習が始まった去年は六年生にお願いしてたし」
「それは…知ってます」
「六年生を相手にする理由は、彼等が一応、一番技量があって上手だから。本当はそういった人にお願いするのが、自分にとっても一番いいんだろうけど…」
「はぁ、」
「私はそうじゃなくてもいいかなって思った」
「?」
「一から相手を育ててみるのも、悪くないんじゃないかって…そう思ったのよ」

言った瞬間、蛙吹先輩は俺の体を押し倒し、唇を重ねてきた。
柔らかい感触が広がる。
気分が一気に高揚した。
え、と思う前には夜着をはだけさせられて、何度も口付けを交わされていた。

「っはぁ、蛙吹先輩…」
「ふふ、口付けするのは初めて?」
「は、い…」
「それじゃぁ、この先も未経験なのね…私が教えてあげるわ」
「っ、せんぱ…!」
「いいのよ、竹谷。最初は私に任せて気持ち良くなって…」

蛙吹先輩の唇が顔から首に移り、絶妙な加減で吸い付いてくる。
痛くはないから、痕がついていることはないんだろうけど、柔らかく湿った部分が触れる度に、俺の息は荒くなる。
背中がゾクゾクして、体が一瞬震えた。
それを見た先輩が再び口付けてきて、ゆっくりと舌を絡め合う。

「ん…ふ、」
「は……んんっ、ん……っ…ん…」

気持ちいい――どころじゃなかった。
蛙吹先輩の舌が俺のそれに擦り付く度に、甘い味が広がる。
実際唾液には味なんてないんだろうけど、吸われたり舐められたりすることで、俺の気持ちは簡単に跳ね上がった。
それを表すかのように、下半身が熱い。
そっと、蛙吹先輩が褌の上からそれを撫でた。

「っ…」
「ふふ、竹谷のここ…固くなってるわよ」
「す、みませ…」
「あら、謝る必要なんてないのに。むしろこうなってくれなきゃ困るわ」

と、先輩は更に手を俺の息子の上で動かす。
そんな鈍い刺激でも十分に、俺は感じていた。

「先輩…もっと…」

懇願すれば、先輩は妖艶に笑って、褌に手をかけた。
そして外される褌。
そこを縛るものがなくなると、俺のいきり勃ったものが先輩の目に晒された。

「はァ…」
「ふふ…元気ね」
「っ、そんなジロジロと見ないで下さいよ…」
「あら、見ないと始まらないのに。それにこれからもっと凄いことをするのよ…これくらいで恥ずかしがってちゃ、最後までできないわ」
「う…」

くすくすと笑った先輩が、ふっと表情を消して俺の股間に顔を埋めた。
え、まさか…と思った時には既に、先輩の舌が俺の息子に舌を這わせていた。
先端をちろちろと舐めた後、じっくりと竿を飲み込んでいく。
一連のその動作に、俺は一々反応して腰を揺らした。

「は…っ、ぁ…蛙吹せんぱ…!」
「ん…む、んん…ん…ん…っ」

ちゅう、と吸い付かれたり上下に動かされたり、とにかく先輩の動きは俺の息子を高みに昇らせるのには十分だった。
自分の手でするのとは全然違う…
ねっとりした舌が絡み付き、射精を促した。

「ァ、先輩…もうだめです…っ」
「ンっ…ん、ふ…」
「っ――…!!」

俺は先輩の口の中で達し、どくどくと放たれたそれを先輩の喉の奥に命中させた。
長い射精の中で、先輩は俺の息子をくわえたまま、ごくんと喉を鳴らした。
しばらく経っても離さないのを見て、ようやく落ち着いた俺は、先輩が俺の出した体液を飲み下したことを知る。
俺はびっくりして、体を起こした。

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