「かわいい、」
彼を見る私の瞳が、彼がぽつり、とその言葉を言ったのを認識した。
「…わ、私が…?」 「うん、そうだよ。それ以外にかわいいやつなんていない」
…驚いた。 彼からの答え…、…聞こえた言葉は私のずっと欲しいと思っていた、言葉。
ダメだ、我慢出来ない、と私は頭にそんなことが浮かんだ。
私の上に跨がる兵助を抱き寄せて『大好き、』と言った。痛いくらいにぎゅうぎゅう抱き締めて、『好き』とずっと言っていた。
気持ちが溢れだして、抑えきれなかった。
しばらくして離すと、兵助は嬉しそうに微笑んだ。
「私も梅雨が好き」
<< < 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 + >
|