「かわいい、」

彼を見る私の瞳が、彼がぽつり、とその言葉を言ったのを認識した。

「…わ、私が…?」
「うん、そうだよ。それ以外にかわいいやつなんていない」

…驚いた。
彼からの答え…、…聞こえた言葉は私のずっと欲しいと思っていた、言葉。

ダメだ、我慢出来ない、と私は頭にそんなことが浮かんだ。

私の上に跨がる兵助を抱き寄せて『大好き、』と言った。痛いくらいにぎゅうぎゅう抱き締めて、『好き』とずっと言っていた。

気持ちが溢れだして、抑えきれなかった。

しばらくして離すと、兵助は嬉しそうに微笑んだ。

「私も梅雨が好き」


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