『ええええ―――っ』という、轟音ともいえる声が講義室に響いた。


先日、クィディッチでレイブンクローがハッフルパフをぺしゃんこに負かし、もうすぐ12月を迎えるという頃である。


「なんで!12月だってまだ授業あるじゃないのーっ!?きょーこちゃあああん!!」

泣き叫ぶのは“きょーこちゃんを愛でる会”会長、ルクレツィア・アンドロシュである。

なぜ、このような状況に陥ったかと言うと、諒子が12月中の『東洋魔術』の講義はすべて休講宣言をしたからである。


「最初にお配りしたシラバスにも書いておきましたが……」

「シラバスなんてまじめに読む人がいたらお目にかかりたいくらいよ」

ルクレツィアはしれっと言い放った。

「……カリキュラム的にも問題はありませんのでご安心を」

「そう言うことじゃありませんようっ!」

「1か月以上も梗子さまにお会いできないとは……!」

「どうしてなのー!?」

ぎゃーぎゃーわーわー。
収拾のつかない事態に内心溜め息であったが、いつもの無表情は崩れていなかった。

ちなみに、“きょーこちゃんを愛でる会”はレイブンクロー、ハッフルパフの生徒に会員が一番多い。



だから、このクラス――レイブンクロー・ハッフルパフ合同5年生は一番反応が酷いと予測できる。
しかも、会長副会長がそろっているのだ。


「12月は日本での仕事で忙しくなる時期ですから……」

12月は年末であり、クリスマスよりも正月を重要視する日本に於いて、陰陽師は死ぬほど忙しくなる。
年末に悪いものを一掃し、気持ちよく新年を迎える、この思考により、お祓いの依頼が殺到するのだ。

ブーイングは絶えなかったが、授業終了時間と次の授業に向かう都合で渋々引きあがった生徒たち。

その後の授業でも度合いは緩和されていたものの、同様の反応を受け、諒子は辟易していた。



[前] | [次#] | [表紙]




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -