ハリーは、横になったまま黙りこくっていた。
初めて、自分が負けた事実を知らされたのだ。
フードをかぶった黒い姿、冷たい叫び声……それを思い返すと同時に目が覚めたときは医務室にいた。
そして、自分のベッドの回りはチームメイトと、ロン、ハーマイオニー、それからエレンがいた。
自分は落ちたらしい。ディゴリーがスニッチを取ったらしい。点差は100点だったらしい、初めて、クィディッチの試合で負けたらしい……
励ましの言葉と泥を残してチームメイトたちが帰った後、ロンとハーマイオニー、エレンがベッドに近寄った。
「ダンブルドアは本気で怒ってたわ……あんなに怒っていらっしゃるのを見たことが無い。
あなたが落ちた時、競技場に駆け込んで杖を振って、そしたら、あなたが地面にぶつかる前に少しスピードが遅くなったのよ。
それから、同じく競技場に駆け込んでいたエレンが魔法を使ったおかげでディメンダーがいなくなったのよ。
あなたは覚えていないでしょうけれど、凄かったのよ、エレンの魔法!」
「そんな、ハーマイオニー、大げさだって……」
「大げさ?そんなことはないさ。エレンの杖から銀色の何かが飛び出したかと思ってたら、すっごい光が競技場を包み込んだんだぜ?それで奴らは一掃さ」
2人はエレンをべた褒めした。
「じゃあ……エレンがディメンダーから助けてくれたってこと……?」
「そうなのかな……?」
エレンが照れ臭そうにはにかんだ。
ハリーはそれに対して、ありがとう、と言った。
少し、嬉しくなったのだ。
しかし、その後に愛用のニンバスの末路を知り、打ち消されてしまったが。
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