「結局、このまま、見守っていくしかなさそうじゃ……」

ハリーのことも、エレンのことも、と校長は続けた。


ホグワーツの1年は終わりを迎え、生徒たちを送り出した後であった。

「これから、ハリーはとんでもない困難と立ち向かわねばならん。だから、手助けは必要最低限、しかし、絶対に死なせてはならん……」

紅茶のカップを置く、カチャ、という音がやけに大きく響いた。


「来年も、よろしく頼む」

いきなり、校長は正面にただただ静かに座っている諒子に神妙に言った。


「……ご依頼ですから」

表情一つ変えずにそう言う諒子に、校長はふぉっふぉ、といつもの調子を取り戻していた。



明日からホグワーツは夏季休業。

そして日本では、『夏だ、暑いぞ、怪談だ!』という単純思考の輩が続出するがために陰陽師が忙しくなる時期でもあった。
だからこそ、諒子はここに招かれてはじめに『夏季休業中は非常事態が発生しない限り一切ホグワーツには来ない』宣言をしたのであるが。

諒子がホグワーツ東洋魔術教授に就任して早1年、結局また来年1年も彼女の苦労は続きそうである。



ちなみに、諒子はおそらく日本一“涼しい”であろう某樹海にてお仕事である。



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