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職場を出て歩くこと10分。人気のない路地を進むと拓けた場所に小さな空き地と寂れた電話ボックスが現れた。土管の積まれた空き地を見ながら電話ボックスで小銭を入れずに受話器を持ち、ダイアルを回す。何度も繰り返し操作したせいで指が覚えた番号の最後の1つを回し終えると、受話器の向こうで声がした。




『お、おかえりなさい主さま…!』




今日のお迎えは五虎退か。













瞬きすると先程とは打って変わって日本家屋に広い庭。ここが俺の本丸、俺の現在の住処。




「き、今日もお疲れさまです主さま…!そうだ、晩ごはんはカレーなんですよ」


「マジか、トンカツもある?腹減ったな」




俺と手を繋いだ五虎退と一緒に本丸に上がると色んなところからおかえりの大合唱が聞こえる。今日も1日働いて疲れた、晩ごはん食べたら早く風呂に入って明日の為に早く寝よう。俺の名は○○、またの名をジャパニーズビジネスマン。通称社畜。22歳で大学を卒業してから勤続4年、今の職場で働いている。審神者になったのは今年の頭でそのお陰で26歳にしてこんな広い日本家屋に住めてるから審神者もそんなに悪くない。




「あ、主さま…お荷物を…」


「ありがと五虎退」




ふわふわの頭を撫でると5匹の虎がトコトコ俺の方へ来て…すっごい匂いを嗅ぎ始めた。俺の足に前脚かけてスラックスとコートを届く範囲で嗅ぎまくる。5匹が。毛がつくけど天国。




「あー、野良猫触ったからかな?」


「主、でしたら早急に手を洗ってきてください。まさかその手で五虎退の頭を…?」


「洗ったわ。着替えてくるからご飯の準備しといて」




長谷部並の機動で現れた一期に五虎退の虎を預けてから部屋に行って冬用のモコモコの白と紺のボーダースウェットに着替える。歌仙に雅じゃないって言われたけど26のオッサンに雅さを求めないでほしい。でも体臭とかオッサンになると出てくる加齢臭は指摘してくれてありがたい、自分じゃ気付かないから。女性社員に陰でコソコソ言われたくないから身だしなみには人一倍気を使わないとな…俺ももう若くない(真顔)
ついでに全身鏡に写る自分の体を眺めて筋トレするかと思っているとカレーのいい匂いが漂ってきて秒で脳内がカレーに支配された。筋トレよりカレーだカレー。




「そんなだから貴方は女性にモテないんですよ…」


「宗三、俺に構わずご飯の支度手伝ってきて」
















「あ〜〜〜〜〜〜〜癒される…」




ようやく訪れた最愛の日曜日の昼下がり、燭台切お手製の絶品天丼を食べて腹いっぱいになった俺は日頃の疲れを癒す為に縁側でゴロッと横になっていた。




「モフモフ天国…」




本丸内の全モフモフに囲まれて。




「五虎退の虎カワイイ…腹の上に乗られて昼の天丼全部出そうとか言えないカワイイ…日頃のストレスが浄化されていく〜」




モフモフぽわんぽわんで屈強な鵺を枕に(もちろん鵺に承諾済)五虎退の虎たちを撫で、鳴狐のお供の狐に腕枕をし、亀吉の安眠を守る…もはや日曜日の日課。これで明日からまた1週間主は頑張れるよ…ありがとうみんな…。
気持ちよくスヤァ…しかけたところで頭上から聞こえた足音で目が覚めた。




「主、午後の出陣ですが…」


「うん、予定通り短刀達で池田屋行こうか。まだ極めてない子中心で編成したからあとの指示は長谷部よろしく」


「かしこまりました。では五虎退の虎を預かりますね」


「え」


「編成に五虎退も入っています。それと遠征部隊に鳴狐、浦島、獅子王も」


「…この子ら置いてっても…」


「ダメです。…俺でよければ、膝をお貸ししますが」


「なんでちょっと照れてんの」


「抜け駆けとは卑怯ではありませんか長谷部?」


「あ、小狐丸。グルーミングしたげよ?」


「なにをしているのですかな?」


「ひぇっ魔王…!」




いい感じでわちゃわちゃしてこの流れでモフモフ天国を守れるかと思ったところで一期が全て回収していった。廊下に1人寂しく倒れる俺はここの主、そう主…のはず。自信なくなってきたけど。いや元々ないけど。
しっかしいたって平凡な俺がこいつら付喪神の主で審神者とは、誰がどう見てもびっくりだよなぁ…俺だって俺の人生にまさかこんな展開が待ってるなんて思わなかったし。俺みたいな何の変哲もない男が歴史守ってていいのかねぇ…。
なんて疑問が浮かぶがそんな事考えてたらそのまま夕方まで眠ってたらしく、こうして俺の休日は気付けば終わってるのであった。




「じゃ、行ってきます」




憂鬱な月曜日の朝、みんなのいってらっしゃいを聞きながら本丸を出て門の外まで歩く。一瞬目を瞑って次に目を開けるとそこはもういつもの電話ボックスの中で、いつも通りドアを開けて会社に向かって歩いていく。歩いて10分の我が社につくと、前から歩いてくる総務の女の子が目に入った。目が合った瞬間視線が下に逸らされ、挨拶する暇もなく小走りで行ってしまう。
…あの子、どういうわけか俺が嫌いっぽくていつも目を逸らされるんだよな…挨拶しても無視されるし、仕事で何度か喋った事はあるけど特に嫌われるような事した覚えないんだけどな…。
この前宗三に言われたモテないを思い出してちょっとヘコんだけど仕方ない、モテないもんはモテないんだし。うん、言ってて悲しくなってなんかないさ。うん。俺に心当たりがなくっても、俺の何かが相手を嫌な気持ちにしちゃったのかもしれないしね。考えるだけ無駄かも。















【職場の人が】どうすればいいと思う?【ヤバい件について】



1 総務女子
職場の社員さんにヤバい人がいる…霊的?な意味で。いっつもなんか憑いてる


2 名無しの刀
取り憑いてるってこと?何が?


3 総務女子
だいたい動物、今日は虎だった。小さいのが5匹いて足元うろうろしてたから踏まないようにするの必死だった


4 名無しの刀
〉〉〉虎〈〈〈


5 名無しの刀
平和か


6 総務女子
でも怖いのはときどき後ろに変な人がいること


7 名無しの刀
おや?話の流れ画…


8 名無しの刀
変な人?どんな?


9 総務女子
この前は白髪ロン毛に黄色い着物?みたいなの来てて刀持ってる人がいた


10 名無しの刀
奇抜な霊?だな


11 総務女子
その人だけじゃなくてピンクの髪の未亡人風の男とか


12 名無しの刀
なにそれ詳しく


13 総務女子
私が見えてるのがわかってるみたいで近寄れない。どうしよ、お寺とか連れてったほうがいいかな?


14 縺ク縺怜?髟キ隹キ驛ィ
その必要はない。あの方は我々でお守りする
邪魔をするな


15 名無しの刀
え?


16 名無しの刀
え?


17 名無しの刀
え?


18 名無しの刀
なにいまの…


19 名無しの刀
IPアドレスないぞ…
文字化けしてるしなんだよ


20 名無しの刀
あれ?そういや>>>1は?




End