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1025 半々に分かれている
『人生の幸と不幸は』の続き










ガバッと起き上がると布団の上で、俺はいったい何をしていたのだろうか…。ハァハァと荒れる息を整えて、寝汗でビショビショな寝巻きを見下ろす。
悪い夢を見た気がする。すごく、嫌な夢だ。
我ながらガキじゃあるまいしと思うが、怖いものは仕方ない。内容は忘れたが、こんなに寝汗をかくほど怖い夢だったんだろう。
部屋の入口を見ると障子越しに太陽の光が差し込んでいて、もう朝だとわかる。枕元の時計を見ようと体を捻ると、外の廊下で足音がした。




「入るぜ大将」




ガラッと開けられた障子から今度は直で差し込む光に思わず目を閉じる。まだ慣れない目をしょぼしょぼさせながらうっすらと目を開けるも、逆光で顔がよく見えない。




「起きてたか?朝餉の時間だぜ」


「あぁ…おはよう薬研。すぐ行く」




しかし声で薬研だとわかっていたので顔も見えないまま返事をした。もうそんな時間か、寝巻きから着替えなくては…まだ眠いな。
もそもそと布団から起きようとしていると、俺を待っていてくれるつもりなのか薬研が障子を開けたままの格好で話をする。




「そういや大将、昨日夜戦を全てクリアしたんだって?」


「あぁそうだよ。これでやっと修行に行かせられる」




昨日クリアした池田屋を思い出しながら語る。
あぁ、本当にみんなよく頑張ってくれた。五虎退に、小夜左文字に、今剣に、厚藤四郎に、にっかり青江に、それから後藤藤四郎。結局最初から最後までメンバーを変えなかったせいで、みんなかなり疲れただろうな。悪いことしちゃった。




「しばらく出陣はしないのか?」


「あぁ、しばらくしないつもりだよ」


「へぇ」




後ろを向いて寝巻きの帯に手をかけてから、さすがに見られたまま脱ぐのは恥ずかしいと薬研に声をかけようと振り向いて顔を上げると、逆光で表情のよく見えない薬研がくるっと振り返って顔だけこちらに向けた姿勢で、囁くような低い声で言った。




「なら次こそは、折ってくれるなよ」




パタン。
障子の閉まる音がやけに乾いて響いた。



End