アウトサイダー・ロマンス

「お前ら、ラブホと間違えたのか」

口のガムテープを丁寧に剥がしてあげた途端これだ。わたしは近くに転がっていたガムテープを再度手に取る。

「アサヒ、もう一度マコトの口塞いでおけ」
「いまやってるよ」

びりっと手頃な長さにテープを破く。するとマコトが慌てて謝ってきたので余ったテープは縛り上げられているタツヤくんの口に貼っておいた。
そして取り上げたサバイバルナイフでマコトの手首と足の拘束を切り捨ててあげると自由になった感触を確かめるように関節を動かしながらバツの悪そうな顔を浮かべる。

「まあでも、お前らが来なかったら危なかった。ありがとうな」
「お見苦しいところをお見せしまして・・・」

苦笑いをするしかない。もう1人の当事者は涼しい顔をして引き出しをひっくり返して家探しをしている。どういう面の皮しているんだろうか、あの人は。

「酷い色の錠剤と乾燥植物に粉末、なにがなんだかわからないがここが工場で間違いないな。それでマコト、おまえは何していたんだ?」
「ビール一杯で突然眠くなった。誘導されるがままタクシー乗ってきたら、これだ」
「えっ、大丈夫?」
「まだちょっと気持ち悪いが、少し持ち直してきたとこ」

水をあげようと思って立ち上がってわたしはキッチンを物色した。茶渋の残ったマグカップが3つ。軽くすすいで水を注ぐとマコトに手渡す。

「わたしたち、あのバーでタツヤくんの話にでてきた男を見つけたの。ここはそいつの免許証の見てきた。バーのマスターとグルだったから、2人とも締め上げていまは車に乗せてる」
「そうか、上手く騙されたな。だけどこいつらの目的はなんだったんだ」
「吐かせてみようか?」

タカシが笑ってつま先で軽くタツヤくんを蹴飛ばした。なにもキングが手を汚すことないのにね。
わたしが静かに首を振りながらそれはヤクザ屋さんのお仕事よと冗談めかしてに言うと彼はそれもそうだと言ってタツヤくんを跨いでこちらまでやってきた。


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