アウトサイダー・ロマンス

「・・・で、この前の話だけど」
「え?あ、ああー・・・脱法ハーブ?」
「アサヒ、お前ってやつは本当に・・・」

マコトが剥きたてのりんごを頬張りながら呆れように視線を投げかける。
急に話を振られても、仕方ないじゃない。こちとら林檎の皮むきに夢中だったのだ。

「で、なに?なにか掴めた?」
「昨日の夜、相談をしにガキがきた。例の事件の加害者なんだがちょっと気になる話が聞けた」
「加害者が」

包丁を一旦置いて話を聞き入った。マコトもおしぼりで手を拭きながらさっきとは打って変わって真剣な声音。

「そいつはどうも危ないことなんてしそうにもない気弱なガキだった。話を聞くにはどうも薬は盛られたみたいなんだ」

そんな簡単な話は昨日聞いたものの、詳しい話は今日の夕方聞くことになっているらしい。
お前も来るか、と聞かれたので迷いなく頷いた。少し真剣に仕事して抱えてる悩みを振り切りたかったし、なによりこの事件にははやく収束してもらいたかった。
マコトから夕方の集合場所を聞くと剥いた林檎をいくつか摘んで身支度をするために立ち上がった。仕事をするなら、きちんとメイクをやり直して身なりを整え頭を切り替えたかったのだ。それにマコトだって締切明けだ、シャワーを浴びるなり仮眠を取るなりしたいだろう。
また後で、そう告げるとわたしは自室へと戻った。


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