アホふたりと、昼下がり

ここは東池袋中央公園、エンジェルパーク。そこでタピオカドリンクを片手にご満悦のアサヒが唐突に口にした。

「ねー、知ってた?一条くんてさ、スキップ出来ないんだよ。運動神経悪すぎてほんと草」
「そういうお前は出来るのか」

するとアサヒは、は!?とでも言いたげな表情で驚いたように見つめてきた後に、すぐさまじとっと睨むような表情に顔を変えた。
お前だって運動神経そんなによくなかっただろ。そう言えばアサヒは太めに書かれた眉を釣りあげてムキになった。

「なめてるの?さすがにスキップくらい誰でも出来るでしょ」
「へー」

それに対して小馬鹿にしたように返事をすればアサヒはベンチから立ち上がり飲みかけのドリンクをおれに押し付けた。
そして少し先まで駆けていくと両手を口に当てておれに向かって叫んだ。おいおい、まさかと思うがやめてくれよ。

「見てて!」
「お前、ここでスキップは・・・」

恥ずかしい!アサヒはにっこにことドヤ顔の笑みを浮かべスキップをしつつ近づいてきた。まさかこのタピオカ、アルコール入ってないだろうな。そう思い手の中のそれを訝しみつつも、おれは慌てて立ち上がり逃げる準備をする。
しかし逃亡の気配に気がついたアサヒがダッシュで戻ってきて、逃がさんとばかりにおれのTシャツの襟足をがっちりと掴んだ。

「ちょっと!どこ行くの!」
「あっ他人です話しかけるな」
「なにが悪いのよ!待って、わかったマコト!スキップ出来ないんでしょ、わたしのスキップに恐れをなしたか」

振り向けばとても普通なスキップを披露していたアサヒがふふんと笑っていた。あー、ムカつく女だ。スキップくらい誰でも出来るっての。
タピオカをアサヒに返すとおれもちょっとだけ離れて行きにやにやと人をばかにしたように立っている彼女に向かって華麗で軽やかなスキップを見せてやった。しかしやつはそれを見ると、失礼にもゲラゲラと笑ってお腹を抱える。

「待って待って普通にきもい!成人男性のスキップ!近寄らないであははは」

うるせーな。なにがそんなに面白いのか笑いすぎてくの字になっているアサヒの頭を笑いすぎだと文句を言いながらぱしんと軽く叩いた。



「バカかあいつら」
「・・・・・・」

場所は同じく東池袋中央公園、の喫煙所。たまたまそこに居合わせた羽沢組のサルこと富士夫がアホらしと顔に浮かべながら煙草の煙を吐いた。旭を迎えに来たものの、ふたりの知り合いだと思われたくなくて顔を出せずにいた崇も、なにも言わずに呆れたと言いたげな顔で咥え煙草のまま紫煙を吐き出す。
2人の視線の先にはどちらがスキップが上手いのか 口論しながら実演し合う誠と旭のふたりが実に楽しそうにじゃれあっているのであった。
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今日の誠と旭
スキップができるかどうかで大論争。実演することになり二人でスキップしてるところを第三者に目撃され変な噂がたつ。
#今日の二人はなにしてる
https://shindanmaker.com/831289 より


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