池袋サディスティックス
お疲れさまー、そう先輩たちに声をかけて店を出ようとした。するとオーナーと仲がいい厳つい男、飯島が声をかけてくる。
「おう真島、このあとの予定は」
「帰りますよ、今日も疲れました」
「そうか、お前なら大丈夫だろうが絶対に店の女に手出すなよ」
どう意味だ、こら。頭に血が上りやすい高校生の頃だった頭突きのひとつかましていたかもしれないが、いまは理性的な大人なので笑って流すことを覚えてしまった。補導歴なんて過去のもの、随分と丸くなったものだ。いいのか、悪いのか。
それでもムカつくものはムカつくので、さっさと飯島の前から去ろうとするとやつはずいと1本のディンプルキーを目の前にぶら下げた。言われるがままにそれを受け取る。
「店の合鍵、お前もそろそろ持っておけってオーナーが。明日いつもより2時間早く来て開店準備手伝いしろよ」
「は、はい」
鍵を握りしめて返事をした。いいぞ、利用出来るかもしれない。持ち上がる口角を抑えながら、鍵をポケットに突っ込みながら真面目を装った返事をした。
そしてアサヒの待つバーへと向かった。
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