工業高校の怪談

おれを池袋のトラブルシューターとして定着させた事件は間違いなくストラングラー事件だ。高校を卒業してしばらくした頃、大事な仲間を殺されて犯人探しに奔走した結果のあの事件。しかし、このおれが迅速なトラブルシューティングに頭角を現したのはあの事件がきっかけじゃない。今日はあの時の話をしよう。時はいつもよりずっと遡る。高校1年生頃の夏の終わりの話だ。
義務教育を終え、地元屈指のヤンキー高校に入学したおれは必修科目とも言えるやんちゃな行動に明け暮れていた。
他校との喧嘩に首を突っ込み観戦し、またある時は参戦し、深夜の街を歩いて生まれて初めて酒や煙草に口をつけたのもこの頃だった気がする。格好つけていただけで、ちっともおいしくなかったけどな。
そんな日常のある日のことだった。コンビニの前で座り込み、コーラを開けた横で咥え煙草の仲間がしゃがみこんだ。

「なあ、真島。お前知っているか」

そいつが喋りだしたのはなんてことのない学校の怪談。校内に出る幽霊の話。
怪談なんてとんと興味のなかったおれは話半分に聞いていた。しかしその話を後日、全く予想だにしなかった人物からも聞くことになるのだった。


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