池袋サディスティックス

面接を通過してふたりで働き始めて2週間少しが経った。
勤務中アサヒの笑顔は完璧だった。完璧すぎるほどの笑顔を仮面のように顔に貼り付けている。痛々しくて、見ていられない。彼女を気にかけて仕事に打ち込んで見ないふりをした。

「あー、ほんと最悪。あいつ全然しっぽ出さないね。1ヶ月やって駄目だったら作戦変えよう」

やすっぽいぺらぺらのワイシャツ1枚に身を包むアサヒがそう言って煙草を咥えた。彼女に労いの言葉をかけながら煙草に火をつけてやる。

「もっと早くてもいいんじゃないか、つらいだろ」
「わたしなんかよりほかの女の子の方がつらいから、全然平気。それより仕事終わり飲もうよ、先週のバーね」

アサヒがふっと煙を吐いて一服を終えるとブレスケアを数粒齧った。そのままひらひらと手を振りながら仕事へと戻る。
あいよ、と返事をすると黒服の窮屈のネクタイを締め直しておれも仕事に戻る準備をした。私服勤務の冴えない店番の仕事が恋しい。


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