1.Falling


side 愛桜


ここは十三番隊。


『強い魄動が?』

「ああ、私はその調査に行ってくる」


十三番隊は基本、何もしない隊。
言ってしまえば、十一番隊と真逆な隊だ。
平和な隊のはずなのに
私の友達ルキアが調査に行く事になった。
確かにルキアは博識で鬼道もうまい。
だからと言って、何故ルキアなのだろう。
他にも適任者はいたはずだ。
私はそれが言えずに、気をつけてねと笑った。


『ねぇ兄さん、なんでルキアが調査に行くの?』

「ああ、それはルキアが適任だと思ったからだよ」


病弱な兄さんは床に伏せながら答える。
そっか、と私は布を濡らして額に乗せる。


「いつもすまないね」

『ううん、大丈夫だよ。兄さんはもう少し休んでて』

「本当に兄想いな妹に頭が上がらないよ」

『はいはい、この書類を京楽の所でしょ?』


よろしく頼むよ、と笑った兄さんを見てから瞬歩で八番隊隊舎の前まで行く。


『あの、京楽隊長にお会いしたいのですが』

「んん?…あのなぁ、死神以外は隊舎に入れねぇんだよ」


隊舎前にいた隊士は、私を見て嘲笑った。
私はれっきとした死神だ。


『私は十三番隊隊士、美園愛桜です』

「だーかーらー、“斬魄刀を持たない”死神は死神って名のんじゃねぇよ、落ちこぼれ」


そう言って私の肩を押し、私は尻餅をする。
かと思ったら受け止められた。


「あらら?どうしたの?愛桜ちゃん」

『書類、兄さんから』

「お、悪いねぇ。はい、七緒ちゃん」

「ありがとうございます、愛桜さん。確かにお受け取りしました。………ところで、こんな所で一体何を?」


七緒副隊長が私と彼を交互に見る。
彼はやばい、と思ったのか視線を逸らす。


『何もないから、大丈夫ですよ。それじゃあ、失礼します』


斬魄刀を持たない、落ちこぼれ。
その言葉は間違っていない。
間違っていないけど、とてつもなく、悔しい。


『………斬魄刀がなくても、私は死神だ』


私は死覇装を強く握りしめ自分に言い聞かせた。

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