memo | ナノ

 965TRPGについて(後編)

*タイムリミットが来てしまった場合*

徐々に部屋が崩壊し、その崩壊に巻き込まれる形で意識を失う

気づいた時には視界は全て真っ暗で動けない

ただあるのは自分の思考のみ。思考だけが取り残され、この暗い中を浮遊している

いや、意識を傾ければ声が聞こえてくる

叫ぶ声、悲痛の声、苦痛の声、それらが全て傍で聞こえているような気がする

ツブレチャッタ ツブレチャッタ

コイン ノ カタチ ニ ツブレチャッタ

不意に明るい子供のような笑い声が響き渡る

その声に釣られるように視線を下に向ければ、どうだろうか


何も無い

そう

自分の体が 無い

あるのはただ 平 ら な 金 色 の 光 だ け


冷たい石の地面に転がり、同じ金色の光を宿すコインたちの上に

自分−コインになった自分−が転がっている

それを認識したのと同時に、体が持ち上げられる

それは「人」だろうか、いや、ここに「人」はいない

いるのはただ「神」と崇められた化物と

処罰された「元人間たちのコイン」しかないのだから

化物は己を持ち上げ、笑いながらその赤く爛れた口を大きく開く

やめてくれと叫びたくても 叫ぶための口や喉、舌は無い

逃げたくても、逃げるための足や胴体は 無い

ただ、赤い赤い深淵の中に投げ込まれるのを見ていることしか出来ないのだ




そして、それすらも出来なくなった






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2015/11/16 (06:58)


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