そういえば、今日の授業は合同だ。生徒同士の交流や親睦を深めるだとかが目標らしい。
同じ科の1,2,3年を集めてオリエンテーションを開き、その科の知識を増やすことにも有効だとかいう話で。
場所は確か…プラネタリウムだったかな。今興味のある本に読み入ってしまったせいで一部を聞き逃してしまったから定かではないけど。
読んでいたページにしおりを挟み、閉じて席を立つ。周りの生徒達がざわつき、徐々に移動していくからだ。
私は小走りにその塊のしんがりにつくと、朝のHR中に配られたオリエンテーションの冊子を両腕で抱えて後についていった。


プラネタリウムのある広い部屋に入ると、辺りは暗くて幻想的な世界が広がっていた。
暗闇に映える光の軌跡。私はそれに魅入り、いつの間にか抱えていた冊子を落としていた。
それを拾ってくれたのは、青いネクタイをした長身の先輩。
優しげな笑顔で冊子を私に差し出した。

「はい。落としたよ」
「ありがとうございます」

お辞儀をして見上げると、先輩はそうだ、と言って手を打った。

「今日のオリエンテーション、二人ペアになって授業を受けるんだけど、よかったら僕とペアになってくれる?」

柔らかな雰囲気に断る理由もなく、私はうんと頷いた。



カーテンを閉め切ってプラネタリウムが展開される。
プラネタリウムの天井は通常の天井よりも高く、そこに銀河が描かれる。
星座についてよく知っている先輩は、丁寧に説明してくれる。
星を指す指の先にを見ていると、すっかり私は魅力的なその世界に引き込まれていった。

「こんなに熱心に聞いてくれるなんて、教えがいがあるよ」
「わかりやすいです。それに、楽しい」

ふっと、思わず笑顔がこぼれる。

「次は本物の星を見上げてみたいものです」

きっと、今の私の瞳はきらきらと輝いているだろう。真上に照らされる疑似星のように。
すると先輩は私と同じように星を見上げて呟いた。

「じゃあ…その次は僕も一緒に見たいな…ダメ、かな?」

視線を落とせば、交り合う。黄金色の瞳が細められて、小首を傾げられる。
なんだかその仕草が可愛らしくて、私を断れなくする。

「いいえ、是非」

返事するのがちょっと恥ずかしくて、少しだけ笑ってしまう。
薄暗い部屋だったから、きっと赤くなってるのはわかんないでしょ?と、自分に言い聞かせる。
ほんのり熱い頬が、先輩にばれていませんように。
口には出さないで祈った。天井を奔る星に、願いを。



02:プラネタリウム
  (むすんだやくそくにむねがたかなった)

2011/7/4 From.Ema


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