「待ってたよ」
任務が終わって埃まみれになりながらとりあえず向かった待機所。綱手様も人使いが相変わらず荒く、予定外の戦闘があったと知ってるくせに予定通り一時間だけ待機しろとはさすがの俺も文句を言いたかった。もちろん口には出してないが。
そんなくたくたの俺を迎えたのは、自分で言うのも恥ずかしいが最愛の恋人。彼女の顔を見るだけでどんな疲れも吹き飛んでしまうから仕方ない。きっと綱手様はそれをも見越しているに違いない。そんなことを考えながら彼女の隣に腰を下ろすと、どこからか出したハンカチで口布を下ろした俺の頬を彼女は拭った。
「遅かったね」
「うん、予定外なことがあってね」
「なるほど。それでぼろぼろなわけか」
「あぁ」
みなまで言わずともナマエだけは俺の機微を一瞬で見抜く。無論、彼女に嘘は絶対つけない。つく予定もないけれど。
「お腹は? どんな感じ?」
「めちゃくちゃ減ってる」
「何か食べたいものとかある?」
「うーん、サンマかな」
「はは、出た。まただ」
「やだ?」
「いいよ、サンマにしよう」
「やったね」
殊更待機所でする会話ではない気がしないでもないが、そんなことを気にする余裕もないほどにはまだ疲れているので許してほしい。そしてもちろん、帰る家は同じ場所。
「帰りにさ、お魚屋さん寄って帰ろ。あとお肉屋さんと、八百屋さんも」
「そんなに?」
「たしか冷蔵庫にまともなもの入ってなかったと思うよ」
「まじでか」
「まじでだ」
そんな風にリズムよく弾む会話が心地よく、どんなに疲れて帰ってきてもナマエの顔を見て声を聞けば明日からも頑張ろうと、そう思えるから不思議だ。
「ねぇ」
「んー?」
そう思うと、帰り支度を進めるナマエに声をかけている俺がいて。振り返って俺の言葉を待つナマエに、心から溢れる言葉を送った。
「
また明日も一緒に帰ろう」
「ふふ、もちろん」
きっとこれは惚れた弱み。fin.
After Word
タコス様からのリクエストで、はたけカカシ「また明日も一緒に帰ろう」でした。タコス様、リクエストありがとうございます!