「たでーま」
がちゃりと玄関を開けると、リビングからはマリナといのの声が聞こえる。あいつまた来てんのかよ。なんて思いながらリビングに行くと、「おかえり、マリナの愛しの旦那さん」なんて言いやがるから呆れてたら照れてると勘違いしやがって余計めんどくせぇ。
「おかえりなさい、先輩」
「おう。今日はおとなしくしてたかよ」
「この通り」
「ハァ…あんたの過保護っぷりホント呆れるわ」
「…うるせぇ」
ため息をつきながら白けた目で俺を見るいのに頭を掻くとチャイムが鳴って。マリナが行こうとするのを制止して俺が出るとサイがいた。いのに声をかけると2人はくすくす笑っていのはサイと帰っていった。
飯を食って風呂に入って、ゆっくりと時間が流れた。
大戦が終わってカカシ先生が火影になった時、俺はナルトが火影になった時のために補佐が出来るようにと頼み込んでカカシ先生の書類仕事を手伝うようになった。
それに今、マリナの腹には俺たちの子がいる。
カカシ先生もマリナの気持ちを考えてくれて、長期任務や遠方の任務は可能な限り回さないように配慮してくれて感謝してもしきれねぇ。
もうすぐ俺は、父親になる。
親父みてぇになれんのかな、俺は。親父は立派な忍だった。親父の背中はデカかった。俺も子供にあの背中を見せられんのかなと思いながら、隣に座るマリナの腹にそっと手を当てた。
「また腹でかくなったか?」
「毎日見てるでしょ」
「ま、まぁな。でもよ、やっぱりでかくなった」
「そりゃ赤ちゃんいるからねぇ」
「…だな」
マリナの腹にいる俺の息子か娘。
どんな顔してんだろうな。どんなふうに育つんだろうな。早く会いてぇな。そんな風に思いながらマリナの腹に耳を当てると、その耳に当たるように蹴りやがった俺たちの子。
初めてのその感覚にバッとマリナを見ると、あの日みてぇに優しく笑っててよ。
「蹴りやがったぜこのクソガキ」
「そうだねぇ」
「ったく、生意気なガキだっつの」
そう言いながらも顔が緩んでいけねぇ。
マリナが胎動を感じるのはいつも俺がいねぇ時だったらしく、初めてしっかりと感じたその感覚に頬が溶けてくような感覚になった。
ふと時計を見ると、もう23時を回ろうとしてる。妊婦は体を冷やしちゃいけねぇとサクラが言ってたから、マリナに寝るように言うとムスッとむくれやがるから、俺も行くと言うと渋々ついてきて一緒にベッドに入った。
マリナの腹に手を当てながら寝転んでいると、だんだん瞼が重くなってくる。
久しぶりに夢を見た。
笑顔のマリナと俺の間には俺のクローンみてぇな子供がいてよ。俺とマリナの手を繋いでニコニコ笑ってやがる。
予知夢ってやつかもしんねぇな、こりゃ。
なんて思いながら繋いだ手をぎゅっと握って家路についた。
春らしい息継ぎ
fin.