02





「アスマ、カカシ見た?」


翌日夕方の任務終わり。
きっと先に帰っているであろうカカシを探して待機所に向かうと、そこには煙草を燻らせ紅と談笑するアスマの姿があった。


「いや、今日は見てねえけど」
「…あ、そう。わかったありがとう」
「何かあったの?」
「……実は、」


不思議そうに見つめるアスマと紅からの視線と言葉に、「まぁ座れや」との言葉を受け腰を下ろして、かくかくしかじか昨夜のやり取りと私が思ったことを話した。

第三者に聞いてもらって改めて、なんというくだらない理由で喧嘩したのだろうと自分に呆れる。これじゃあまるで子供だ。少しのことで機嫌を損ね、泣きじゃくり駄々をこねる子供みたい。そんな風に思う私を分かりきっているかのように、二人はまたかというような表情を浮かべ、アスマは吸い込んだ紫煙を吐き出した。


「また毎度の如くくだらねぇな、その理由」
「…わかってるよそんなこと」
「でも、マリナの気持ちはわからないでもないけどね」
「あ?」
「え?」


紅からの思わぬ言葉に、私とアスマはきょとんと目を点にした。すると紅はすらりとした足を組みかえ、続きを待つ私たちに向け口を開く。


「人間誰しもそうでしょう。過ぎてしまった過去を悔やんで、なんであの時こうしなかったんだろう、あんな言葉を言わなければって、無意味なことだとわかっていてもそう思ってしまうものじゃない?」
「まぁ、な」
「…たしかに」
「マリナの場合は、大切な人だから特にそう思うのよ。大切に思うからこそ、その後悔の度合いが大きいの」
「…」
「だけど、あんたたちがそんなくだらない理由で喧嘩するの、もう何度目?いい加減そんな子供みたいな喧嘩をするのはよせばいいじゃない」
「……」
「本当にカカシのことが大切なら、すぐにでも仲直りすることね。拗れる前に立て直さないと後々に響くわよ。あんたが大人になりなさい、マリナ」


ぐうの音も出ないとはこのことだと思った。
紅の言う通り、本当にくだらない。言いたい言葉を言わず、言わなくていい言葉ばかり口に出る。

大人に、ならなきゃ。


「私、ちょっとカカシ探してくる」
「おう」
「いってらっしゃい」


立ち上がってそう口を開いた私を分かっていたように笑んでくれる二人。ありがとうと笑んで待機所を出ようとする私の耳に響いたのは、忍鳥のくちばしが窓を叩く音だった。



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