04




「おいおい、いくらなんでも泣きすぎでしょうよ」
「…だってぇ」


無事ナルトとヒナタちゃんの結婚式は感動の中終わって会場の外へ出てからも、相変わらず涙は止まってくれない。ダムが決壊したみたいに、溜まってたものを全部吐き出すみたいに、本当にとめどない。

凄く、素敵な式だった。ナルトもヒナタちゃんも、参列した人もみんな幸せそうで、ナルトらしい、温かさに溢れた式だった。そんな中に私みたいなものも招いてくれたナルトとヒナタちゃんには、感謝してもしきれない。


「…ま、気持ちはわかるけどさ。俺もちょっともらい泣きしたしね」
「…カカシが、泣いたの?」
「おまえがあまりにもおいおい泣くからだよ」


ぽんぽん、と私の頭を撫でながら「ほら、そろそろ落ち着きなって」と優しい声や眼差しを向けるカカシに、さっきよりも涙が詰まる。


「マリナさーん!」
「…サクラ、ちゃん」


向こうから走ってきて、「うわ、マリナさん目が真っ赤ですよ!」と、おおげさにぎょっとした顔をするサクラちゃんに、泣いたまま笑った。


「泣くのか笑うのかどっちかにしたら?」
「…うるさい」
「まぁ、あのナルトがあんなこと言ったんですもん。こうなっちゃうのもわかる気がします」
「…だーね」


「それじゃあ私は同期で二次会があるので、これで」そう言ってぺこりと頭を下げてまた走っていくサクラちゃんの背をカカシと見送って、なんだかしんみりとした気分になる。


「…ナルトもサクラちゃんも、もう結婚なんて年になったんだよね」
「あぁ。ついこの間までぎゃーぎゃー騒いでたと思ったら、もう家庭を持つようになったんだよな」
「子供の成長は早いっていうけど、本当にそう。特に私は、成長してく姿をずっと見てたわけじゃないから、そう思うのかもしれないなあ」
「…」


そんな私の言葉に黙り込んでしまったカカシに、思わずごめんと謝ろうとすると、カカシは私の言葉にかぶせるように言葉を紡ぐ。


「たしかに一緒にはいなかったし、あいつらの成長を見届けたわけじゃないけどさ、」
「…」
「それでも、あいつらの心にはずっとおまえがいたんだよ」
「!」
「あいつらの口癖だったからな。おまえを取り戻すために強くなるって」
「…っ」
「だから過程はどうあれ、マリナはずっと、知らず知らずのうちにあいつらを成長させる要因の一つになってた、ってわけだ」
「…カカシ、」
「だから嬉しいんじゃないかな。マリナのそばにいられることが、マリナと面と向かって話せることが。…ま、それは俺も同じなんだけどね」
「…、」


「ありがとう」
カカシのそんな優しい声と、黙って繋いでくれた手に、そう、言葉が零れた。


私がいない間にいろいろあった。…いや、いろいろじゃ片付けられないようなことが、たくさん。
それでもあの子たちは、道を逸れることなく、真っすぐに逞しく、成長してくれた。


繋いでくれたカカシの手を握り返しながら、真っ青な空を見上げる。



――ナルト、結婚おめでとう。絶対、幸せになるんだよ。






fin.
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