06




そんな声と一緒に、温かい何かに背中を支えられる。
はっとして閉じていた眼を開けると、そこには大好きな人がいるわけで。


「…カカシ、さん」
「ったく、おまえは無茶ばっかりして。…カエデ」
「!うん、」


呆れたように笑いながらも、心配そうに私を見るカカシさんから視線を逸らした。未だ血が流れ続ける腹部にはカエデさんの温かいチャクラが当てられる。


「カカシ、さん…向こうの敵は…」
「もういないよ、大多数がこっちに来たみたいだ。…遅くなってすまない」
「…そんな、謝らないでください」
「…ごめんね、マリナちゃん。私のせいで…」


私の腹部にチャクラを当てながら、カエデさんは悔しそうに唇を噛んでいる。
やだなあカエデさん。私なんかのためにそんな顔しないでくださいよ。私はあなたを守れたことに、満足してるんですから。


「カエデさん…」
「…」
「私は、あなたを守れたことが、素直に嬉しいです」
「!」
「言って、くれたでしょ?私のことが、大切だって」
「…っ」
「私だって、カエデさんのことが、大切なんですよ…?」
「マリナ、ちゃん…」


そう言って笑いかけるとぽろぽろ、とカエデさんの瞳から溢れたのは涙。
カエデさん、私なんかのために、泣かないでください。カエデさんが悲しいと、きっとカカシさんも悲しくなるから。どうか、泣かないで。

出血が思ったより多かったからか、少しばかり震える手を伸ばしてカエデさんの頬に触れる。


「泣か、ないで…」
「…っ、マリナちゃん…」
「いいんです、私は、これで…」


なんだか、どんどん意識が遠くなっていくなあ。なんでだろう、死ぬのが怖いと思ってたはずなのに、この二人のそばでいけるなら、それもいいかな。そう思う私がいる。


「…マリナ?おい、マリナ!」
「マリナちゃん!カカシ、出血が多い!止まらないの!」
「くそっ、すぐに里に戻るぞ!」


カエデさんの頬に伸ばした手が地面に落ちた感覚を最後に、私は意識を失った。




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